隠居の独り言(249)

8日から始まったNHK大河ドラマ風林火山」は昨年の「功名が辻」と違って
甲斐(山梨県)と信濃(長野県)にまたがる地方の物語で、全国の大河ファンに
どれほど受けるかは製作、監督、出演者の腕に依るところだろうが歴史的な見地
からしても価値や範囲は狭く、よほど頑張らないと柳の下にドジョウはいない。
主役の山本勘助は史実的には不明な人物らしく原作の井上靖の小説では身の丈は
五尺そこそこ、隻眼で片足が悪くとても貧相だったようで出演者には内野聖陽
選ばれたがイメージでは、むしろ昨年の大河ドラマの武田鉄也か柄本明のほうが
格好や年齢が似合っている気がしてならない。ドラマは読んだ原作には無かった
山本勘助の青年時代から始まっているが脚本家の大森寿美男がどのような展開で
戦国ロマンを描き原作とマッチングするのかとても楽しみだが出演者のセリフを
もう少し易しくしないとドラマとしては視聴者になじめない。山本勘助が将来に
仕える武田晴信、のちの信玄(市川亀治郎)は戦国時代の中で群を抜いて秀でた
武将だったが惜しいことに本拠地を甲斐から移すことなく終わった事と、年代が
もう5-10年遅く生まれていたら日本の歴史が大いに変わっていたに違いない。
時代は織田、豊臣、徳川と移っていくが、信玄が途中で挫折したのは実に惜しい。
群雄割拠の戦国時代は運と力の攻め合いが日本全国に亘り、食うか食われるかの
弱肉強食の世の中でも人々はそれぞれに日々の暮らしのために農耕や狩猟もして
生活をしていた。そのなかで恋も生まれ、やがて子供を産み育てて家族を持った
幸せは時代を超えて昔も今も変わらない。ドラマは戦う男たちと見守る女たちの
葛藤を描いていくのだろうが、それぞれに潜む心理をどのように表に出せるかが
大きなポイントだろう。これから一年が楽しみだ。