隠居の独り言(256)

正月も半ばを過ぎたが、正月三日間を家で過ごして気付いた事は自分が子供の頃の
正月風景と随分変わったものだ。あの頃はテレビやゲーム機などは無く子供たちは
家の外で元気に遊び男の子はベーゴマ、メンコ、凧揚げがご三家、女の子はお手玉
羽根つき、縄跳びがご三家、その他ビー玉、竹馬、独楽、竹とんぼ等、雨が降れば
家の中で、すごろく、カルタ、花札百人一首など子供の遊びには事欠かなかった。
昔の遊びはそれぞれにそれなりのコツや工夫があって一朝一夕には上手くならない。
ガキ仲間の大将になるためには、練習と研鑽を重ねることが大いに必要だったが、
その遊びの学習が手先の器用と脳の発達成長の糧となって大人への階段を登った。
今の子供たちは社会が便利になった反面に学習する事柄が失われている気がする。
テレビ、ケータイ、パソコン、ゲーム機に夢中になり、手先や頭を使う事も無く
外へ出てもガキ仲間は無く機械相手の遊びは友達との関係も希薄になってしまう。
今の学校の先生もベーゴマ、メンコ、羽根つきの遊びが出来る人はいないだろう。
教習にPCを導入するより手や頭の使う遊びを教えたほうが将来にもいいはずだ。
長らく世界に誇ってきた技術の日本は元を質せば子供の頃の遊びから出たもので、
その培われた土壌が失われるのはとても寂しいし将来の日本が心配になってくる。
鉛筆が削れない、林檎の皮が剥けない、蝶結びが出来ない、針仕事が出来ない、
今の親や教師に言いたいのは、せめて子供を育てる過程の中で何か得意なものを
一つだけでも身に付けてやってほしい。何でもいい。ベーゴマの達人でもいいし、
お手玉の名人でもいい、人より秀でたものを一つ持つ。それが自信に繋がり心を
豊かにするのは自明だが、それには本を読む、日記を書く、炊事の手伝いをする、
その毎日を続ける習慣が大切で親子で楽しみながらの生活は、なによりの学習で
精神的な強さと優しさを持てる人になるのは間違いない。その中から得意なものを
自らが発見するだろう。最近はやりのいじめの防止にもとても役に立つと思う。
言うは易し、行いは難しだが、それでもやってみる。小さな決心一つだ!