隠居の独り言(261)

世の中の不公平な仕組みを言えばキリが無いが例えば税金の問題でもサラリーマンは
東郷さん(10,5,3)の割合で収入の全てが把握され課税されて一番の被害に思う人が
多いが紙上でTBSから独立したフリーアナウンサー生島ヒロシがこう語っている。
「当初はお金が入ってきたものは、そのまま自分のものと思ってしまった。所得税
住民税や法人税など税金を後で払う事など全然考えていなかった。そのために借金を
しました。フリーになれば保険や年金も全てが自己負担で何の保証もありません」
平成元年に「アッコにおまかせ」で和田アキ子に信頼され自信につながり独立したが
世間はそんなに甘くなく、やがてテレビ局からもだんだん声が掛からなくなっていく。
日本テレビから独立した徳光和夫も「もう一度、局で雇ってくれないかな」とぼやく。
サラリーマンは恵まれていると痛切に感じた彼らだがたしかにサラリーマンの給料は
手にした全ては自分のもので税金や保険、年金が天引きされる仕組みになっている。
厚生年金は差し引かれた同額の金額を会社が負担し定年後に支給される年金はそれに
税金の補填を受けて貰うことになっているが、会社が負担をしたものは経費として
認められ実質は人件費として扱われている。個人で独立すればそれらの保証は消えて
全てが自己負担、会社組織にすれば年金は個人+法人の分で払わなくてはならない。
会社はそのために事務員を雇い経費を掛かけているのをサラリーマンたちは自覚して
いるだろうか。公務員や会社員などの勤め人は組織の中での諸々の苦労はあっても
生活の安定を確約されているのを一度見つめるのもいいと思う。自営業、技術職人、
非正社員、フリーター、芸人に至るまで何の保証も無く生活している人達の多くは
気分的にもいったん財布に入れたものから支出して払うというのは気の重い事だし
その事務処理も自らが行い、税務に計理士を雇えば只ではすまない。ギタリストの
村治佳織も過日「私もフリーターと同じよ」と話しをしていた。来月は確定申告の
時期だが新聞やTVなどで京都の舞妓さんの申告書作成の勉強の模様を報じている。
確定申告もサラリーマンは勤め先の役所や会社が代行してくれている。親戚の者が
勤務の不平や不満から大会社を辞めてしまったが、世の中は生易しいものではない。
今では安定したサラリーマンの幸せを痛感している事だろう。勤めて苦労、そして
辞めて苦労は、人生そのものだ。