隠居の独り言(280)

四月の都知事選は石原慎太郎のワンマンショーだが、気にかかることが多々
ありで、たとえば知事が内外の出張先のホテルで超豪華な部屋を取ったとか、
公費で贅沢な食事をしたとか、マスコミはいろいろ叩くけれど都知事ほどの
大物になれば出張先での会合では相手先もVIPクラスの大物がくるはずで
われわれ庶民感覚と違うところもあるだろうから、ある程度は仕方がないか。
知事もその辺りをきちんと説明すればいいのに逃げ腰なのが気に入らない。
まして石原慎太郎は立派な作家で印税も入ってくる高収入の人物なのだから
マスコミがとやかく言うのだったら自腹を切るくらいの見栄がほしい。
ただ現在の都知事としての旅費や交際費が内外の例として非常識な金額なら
堂々と予算を増やせばいいし例えば外国の公式では奥様同伴が当たり前だし
その費用だって計上すればいいだろう。納得出来ないのは息子の画家に出張
費用を公費で負担をして当然の顔をされると公私混同ではと言いたくなる。
地位を利用した近親者の重用は政治の世界では最も卑しむ事で石原慎太郎
名が廃る。豪華な部屋を自腹で払えないようなケチなら家族は使わない事だ。
庶民感覚とはそうしたもので都知事のあまりにかけ離れた行動が、いわゆる
不徳の致すところで人をなめているとしか言いようがない。先日行なわれた
東京マラソン都知事は「いいお祭が出来た。涙が出た。利害損得を抜いて
いいなぁと久々に思った」と語ったが、その爽やかな心意気とさまざまな
金銭感覚が同一人物とはとても思えない。昔の政治家は藤山愛一郎のように
私財を投げ打って井戸と塀しか残らないような清廉潔白な人もいたらしいが
今の政治家は肥やす人が圧倒的で、政治が商いと勘違いしているのが多い。
政治信条や作家としての石原慎太郎には敬服しているが、何かが引っかかる、
完璧な人間なんていないのだろう。