隠居の独り言(315)

子供の頃は中国のことをシナ(支那)と呼んでいた。日中戦争支那事変だったし
支那はとても身近な存在だった。孫文蒋介石李登輝も日本で学びそれを祖国で
実践した偉人でもあった。今ではシナと呼ばないのは相手国からの要請もあるが
かつて日本が侵略した頃に「支那人」と現地の人を軽視したような言葉だったので、
贖罪意識もあって中国と呼ぶようになったのだろう。中国の呼称は世界の真ん中の
意味で自国を世界の中心と見なして周辺諸国を化外の民として見下ろす中華思想
背景にある。隣接する日本、朝鮮、ベトナムチベット、モンゴル、ウイグルなど
漢民族以外は儒教的な王道政治の理想から離れた人種の軽蔑の対象となる思想だ。
チベットウイグルへの強圧政策、台湾への侵略計画、日本への強引政策などの
覇権主義は現代の中華思想の発露と解釈するほかない。戦後も半世紀以上も過ぎて
その辺りを考えても日本も中国を前のようにシナと呼号してもいいのではないか。
植民地時代に大陸の侵略の先鞭をつけた西洋諸国では当時からチャイナと呼称し
住民に対してのチャイニーズの他にチャイナマンの差別語も現在も使われている。
日本人のジャップと同義語だ。西洋人はけっしてセントラルランドとは言わない。
調べてみると現在「中国」と呼称している国は「化外の民」の日本、南北の朝鮮、
ベトナムだけで、インドネシアはチナ、タイはチン、フィリピンはツィナと呼ぶ。
中華思想から見れば日本を始め周辺諸国はおしなべて野蛮国で彼らが大きな顔を
しているのも何となく分かる気がする。19世紀の清朝末期になってから漢民族
清朝を倒して近代国家を作り上げなければと儒教を捨てていくが中華思想だけは
離そうとしない。それだからって日本が中国の言いなりになる理由はどこにも
無いが何故か弱いのはどうしてだろう。清朝末期にイギリス、ロシア等あれほど
ひどい事をしたのに謝罪どころか賠償金や沿海州などの領土まで取り上げている。
中国政府が歴史認識云々を言うなら西洋諸国にも声を高めるべきだが相手が強いと
何も言えない。弱腰は却って相手の思う壺だ。