隠居の独り言(337)

「地方の時代」といわれて何年かが過ぎたが、大都市との雇用や収入の格差は
広がるばかりで地方交付税も減額され対策の立て方を地方は考えねばならない。
地方の駅前の商店街は店を閉めるところが多く、いわゆるシャッター街が軒を
連ねているが大型店舗の進出と不況のあおりをまともに受けて惨めなかぎりだ。
東国原知事の「宮崎をどげんかせんといかん」との謳い文句で宮崎を訪れる
観光客がどっと増えたそうだが一人のキャラクターでこうも違うとは凄い。
県民もタレント知事を選択したのがここまでヒットするとは想定外だろう。
今年は地方に関心が高く「ご当地」の言葉も流行りだがNHK大河ドラマ
影響も大きく今回の「風林火山」で甲府駅に降りる客は昨年の倍増だそうで
武田信玄が住んだ躑躅が崎館跡や恵林寺など大勢の観光客で賑わっている。
昨年の「功名が辻」では高知では上川隆也仲間由紀恵のイラストの描いた
バスが市内を走っていたそうだが大河ドラマの効果は大きいものという。
来年は宮崎あおい主演の「篤姫」だから鹿児島、京都、東京辺りが「ご当地」か。
秋田と青森を結ぶ快速電車「リゾートしらかみ」は演歌歌手の水森かおり
一昨年に「五能線」を歌ってから乗客数が前年度の2倍近くになったというが
政府が勧めている「ふるさと税」など新設しなくても「ご当地ソング」の一曲で
その地方は息づき栄えるとなれば発想の転換ひとつでどのようにも変わっていく。
ご当地ソングは歌謡曲や民謡などのタイトルや歌詞で各地の地名が入ったもので
自然と郷愁も湧き出てくるような曲が多いが、現在の住んでいる東京隅田川でも
「すみだ川」島倉千代子、「隅田川」城之内早苗 、古くは滝廉太郎の「花」がある。
東京の中でも盛り場の銀座、新宿、浅草、六本木などを題名にした曲は多いが
人情物や恋の歌にひっかけて知名を入れる創作は感情をくすぐるものなのだろう。
地方名は北海道から沖縄まで全国くまなく亘っているが大都市では横浜、神戸の
港町が多く、逆に都市では名古屋、県では愛知、佐賀が少ないのは土地からくる
イメージが歌に合っていないからなのだろう。どのような手法にせよ日本全国が
潤ってほしいものだ。