隠居の独り言(367)

世の中は景気がいいという。現実にサラリーマンの夏のボーナスは史上最高で
会社の決算報告も概して増収増益で黒字幅は上昇して株主にも配当金も増して
株主優待も多くなり安定した長期の株主に応えている。外資ファンドの買収の
作戦も上手くいかないのは景気の良さで優遇株主の賛同を得られないからだ。
といって好景気が一般の生活には反映した実感が湧かないのは何故だろう。
このところ格差社会、という言葉がしきりに聞かれるようになり、以前ほど
社会が平等では無くなった、との思いを持つ人が多くなっているのも事実だ。
たしかに自動車、電機、精密など世界的にも日本勢が上位を占めている産業と
国際競争力の弱い産業とでは大きく差が出来てかつて高度成長期の船団方式は
通用しなくなったし一部上場された大会社と中小企業の格差はますます広がる
ばかりで、それに従い各家庭の家計の格差も大きくなって、世論調査によると
2007年3月の調べで貧富が広がっていると感じている人は8割を超えている。
消費動向も高級ブランド品が好調で、かたやディスカウント店に人が多いのは
格差の状況を物語っている。それでは格差社会はいけないものなのだろうか。
世界的にも頑張った人が報われる社会に、方向付けがなされてきているようで
頑張った人が高収入を得られるのは当然だという認識が言葉の背景にあるが
法人税所得税の税率が下げられ物品税の税率が上げられる傾向はそこにある。
高所得者の子供は早くから高額の教育費をかけて塾通い、私立の学校で教育の
格差が付き始めているのは現実だが、それではスタートラインが違い過ぎる。
これは公立学校を充実させるべきで教育格差は政治にも責任の一端がある。
将来の就職などに関わる問題なので深刻なものに発展していく。フリーターや
ヒートが増え、どうせ自分なんかは・・とモラル低下につながり治安の悪化は
極端な格差が原因の一つでもある。政治もその辺りを見つめて欲しい。