隠居の独り言(409)

世論というものは紫陽花の花言葉のように「移り気」なのだとつくづく思う。
僅か一年前に圧倒的な人気で安倍晋三が華やかに首相官邸の主になったのに
相次ぐ閣僚の失態や過去の年金記録紛失問題が噴出して安倍晋三の理念とは
関係の無いところに翻弄されて参院戦でつまずいたが世論はシビアなもので
無責任の烙印を押されて石を持って追われる如く官邸を静かに去っていった。
次期総理の本命だったはずの麻生太郎は味方陣営が少なく大勢力と根回しの
良かった福田康夫に油揚げを浚われそうでこれが政治論理というものだろう。
1600年の関が原も東西同人数の陣営で戦ったが正義は石田三成にあっても
根回しと力で大名の大半はドミノ倒しのように徳川家康の陣についていった。
勝つ側に協力していなければ恩賞も貰えないし仲間はずれにされてしまう。
今に思えば安倍晋三は負けた石田三成に似て政策通だったが表情も言葉も
真面目すぎて人を惹き付ける面白味と人心を掴むコツに欠けていたようで、
年齢的にも当選回数からも一言居士の多い自民党議員のトップになるには
時期が少し早すぎたのかもしれない。テロ特措法や健康の事など恵まれぬ
ツキの無さは如何ともし難く人生のタイミングはいかに重要かを思い知った。
物分りの良さそうな福田康夫が次期総理になるのは確定的だが将来の展望が
漠然と見えてこない事と派閥を大事にする古い自民党体質が再現される事は
日本にとって冬の時代が到来なのだろうか。親中的なのもとても気になる。