隠居の独り言(418)

戦国時代のある場所ある日に、いつもと違ったのは部落のどの家も雨戸は釘付けで
日中だというのに人影も無く犬や鶏の声さえ聞こえない。聞こえるのは森の木々の
風になびく葉擦れの音だけでゴーストタウンの様相に時ばかりが静かに流れていた。
村人達はこの地で起きる合戦を予想して近くの山や奥深い森の中に避難をしている。
各地で起きる紛争は土地に住む民は逃げ惑うしかなく戦いが終わるまで身を潜めた。
戦国武将たちは己の欲望のために他所を侵し領地を自分のものにしたがるが村人に
とっては甚だ迷惑な話で合戦のたびに家は焼かれ田畑は踏み荒らされ捕まれば男は
奴隷に女は玩具にされる。村人達は森の中でひっそりと身を隠し合戦の阿鼻叫喚を
聞いていたことだろう。「一将功成りて万骨枯る」歴史書は表立った武将の名前は
列挙されるが殆どの名も無き兵士や庶民の事柄は埋もれて風と化して消えてしまう。
それでも室町から安土桃山にかけての15世紀の日本の農業や各種産業が飛躍的に
伸びた事を思えば戦国にもめげず庶民の力強いバイタリティを感ぜずにいられない。
NHK大河ドラマ風林火山」では信州川中島長尾景虎Gackt:ガクト)との
初対決を終えた武田晴信市川亀治郎)は、久しぶりに諏訪の由布姫(柴本幸)を
訪れるが山本勘助内野聖陽)とリツ(前田亜季)の婚約話を聞かされて由布姫は
複雑な気持ちを持つ。晴信に抱かれながら女心とは神秘的で奥の深いものだろう。
勘助は越後に対抗するためには武田の背後の駿河今川義元谷原章介)と関東の
北條氏康(松井誠)と手を結ばせる必要があり、策略で忙しく立ち回る。いわゆる
三国同盟だが越後との戦いに専念する体制を作り上げる事だった。戦国の習いといえ
子との別離を強いられる三条夫人(池脇千鶴)は涙で娘を抱きしめるシーンは辛い。