隠居の独り言(442)

「人は他人を裁けるが自分を裁けない」ここ毎日のように報道されている
守屋武昌前防衛事務次官の過剰接待記事は知れば知るほどに腹立たしいが
もし自分が彼の立場だったらと思うと、この格言を思い出す。人の欲望は
限りが無いが金銭欲、名誉欲なので直接の部下や業者が言葉使いひとつも
敬い立てられたら鼻が高くなるのは彼でなくてもそうなるのは当たり前だ。
目の前に美味しいものがあって「どうぞ」と薦められれば、手を出すのは
自然で、まして高級官僚なら贈答、接待は日常茶飯事だからゴルフだって
誘われればプレー代は役得だと思っていたのだろうし事務次官ともなれば
「もてなし」のグレードは高いものに違いない。善し悪しはともかく私も
弱い人間で周りから奉られれば「据え膳食わねば武士の恥」と自分勝手な
屁理屈で接待を受けていただろうし守屋非難の資格は無いかもしれない。
ただ社会は誰もが競争でありそのための失敗もあるがそれに気付いたら
踏みとどまるべきでタガがゆるんで何度も繰り返したのはモラル失格だ。
彼は防衛事務次官にまで出世をしたのだからこれで俺の人生は大成功だと
満足をしていれば充分過ぎるぐらいの晩年が待っていたはずで実に惜しい。
昔の豊臣秀吉も近代の田中角栄も経済の中内功も晩節を汚してしまったが
TOPにまで登りつめた彼らを知るにつけ、人には説明しきれないような
不思議な魔物が棲んでいるものだと事件に携わった人達を哀れに思った。
年を取ったらスマートに生きたい、彼が反面教師のような気がしてくる。