隠居の独り言(458)

報道によれば今年の冬のボーナスは史上最高だという。しかしその記事を見聞きしても
それが幾らであろうが素直に喜べる階層はどれほどいるのだろうか。国民の大半の人は
そんなにもらっているのか、と嫌な印象とストレスが溜まるばかりでマスメディアには
多数の人の気持ちを逆なでしている事に気がついていない。別な記事は1000万円超の
負債を抱えた中小企業を主とした企業倒産件数が11月時点で戦後最高と伝えている。
要するに現在の日本の抱えている最大の問題は産業別の二極化と収入格差の事だから
賞与の金額を言うならボーナス無しが何%、5万〜10万が何%、10万〜20万が何%、
個人企業、中小企業、大企業、公務員等々の格差をキメ細かく調べて報道するのが
マスメディアの持てる社会的な地位や仕事であり義務だと思う。新卒や再就職の人の
内定率を報道されることはあっても、その内訳の契約社員、正社員の割合は触れない。
報道機関は上場企業に勤める人や公務員の給与体系云々よりも、実数がはるかに多い
中小企業に勤務する人、自営業、農、林水産業に携わる人達をチェックするのが大事で
報道の向きが違った方面に向いていれば、正確な日本の産業別の実体を把握できない。
芸能人や一部のスポーツ関係者の年収などどうでもいい話が多いのはピントはずれだ。
フリーター、ワーキング・プア等の人達は働きたくても職が無い、職があっても賃金が
少ない状況は定着して、企業もそれに乗った職場構造になっている。好景気のはずが
ハローワークは職を求める人であふれ、求人のパネルが沢山あっても経験、資格などの
高いハードルがあって簡単に就職出来ない。研修期間が長く大抵はその期でカットされ
正社員の道はとても厳しいのは競争社会で企業はそれを利用しているとしか思えない。
ボーナスの記事を見て喜ぶ人より溜息をする人が圧倒的なのを報道は直視するべきだ。