隠居の独り言(483)

NHK大河ドラマ篤姫」も5回を数え、愈々島津斉彬高橋英樹)の登場で
薩摩藩の改革が始まるが、もう少し薩摩と沖縄の間柄について目を向けてみたい。
奄美諸島は13世紀から17世紀の初めにかけての約350年間、琉球王朝が栄えて
青い海と緑の島々の楽園を謳歌していた。1607年から薩摩の侵略によって沖縄は
島津77万石の支配下に置かれて島民達は年貢代わりに課せられた砂糖キビ栽培で
過酷な労働を強いられ「南の楽園」から「砂糖地獄」へと奈落に突き落とされた。
一月から三月にかけては砂糖キビの取り入れの季節だが生産された砂糖の全てを
代官が取り上げていく。人々は奴隷そのものでキビを舐める事も許されなかった。
そのうえ独特の痩せた土地は食料も少なく毒性の強いソテツを食べて命を縮めた。
江戸藩邸の費用、遠い参勤交代、藩主一族の生活費、幕府の命令で木曽川の修理、
5000人以上の家臣の手当てなど、殆ど破産状態になった藩の財政を立て直すのは
キレイゴトでは済まされず家臣の減給から沖縄からの年貢が頼みとなっていくが
幕末に薩摩藩は多額の借金を返済して軍事大国の雄藩になっていくが元を質せば
日本の砂糖独占企業で薩摩が栄えれば栄えるほど沖縄の人達の搾取が厳しくなる。
ドラマは娘盛りになった於一(宮崎あおい)が斉彬から贈られた「日本外史」を
読みふける姿を見て菊本(佐々木すみ江)は女の幸せは良い嫁になる事だと説く・・
そんな折、忠教(山口祐一郎)が息子の右近(加治将樹)が於一に一目惚れし、
結婚したいと言っていると忠剛(長塚京三)に伝えるが、その話を聞いた近くの
話し相手の尚五郎(瑛太)は激しく動揺する。当時の武家の結婚は互いの感情より
家と家の都合で決められ自由恋愛はよほどの事でもないかぎりは成りえなかった。
青春を謳歌出来たのは、かえって身分の低い民百姓の若い男女の間柄であったし、
規律で固められた高い身分の人ほど窮屈なものであったに違いない。