隠居の独り言(496)

ペリーの話を続ける。18世紀後半のアメリカでは石油資源の発見から商業の
利用になるまでの間の油資源は主に鯨油に頼っていた。太平洋でのアメリカの
捕鯨船は鯨油を採るため700隻以上が活動したといわれ日本近海に約300隻が
操業していたと推測される。これだけ多くの船が北太平洋にいたら当然として
燃料や食料の補給と嵐などの避難港が必要になってくるから日本に強く開国を
求めるのは当然の結果だろうか。アメリカ政府がペリーに与えたミッションは
日本の開国と薪炭、食料、水の提供と出来れば、どこかの島一つを譲り受けて
捕鯨基地にしたいというものだった。皮肉にもその辺りからアメリカの油需要は
石油に代わっていくのだが、ともかく幕府にしてみれば、どうせ開国するなら
アヘン戦争などで中国を植民地化していたイギリスやフランスよりも日本船が
嵐で難破した時に救助してくれたアメリ捕鯨船のほうに好意を持っていた。
実際にそれを体験してその上に教育を受けて帰国したジョン万次郎(勝地涼)の
助言もあったのだろう。歴史の偶然は日本にとって最も良いアメリカの来日だった。
NHK大河ドラマ篤姫」の物語は於一(宮崎あおい)に京の近衛家に仕えていた
老女・幾島(松坂慶子)が付けられる。諸芸百般に通じるいわゆる{姫君}としての
教育特訓だが、賢い於一のことだから紆余曲折があっても、やがて身に付くだろう。
動乱の歴史は動きはじめ於一改め「篤姫」が島津家の名代として次期将軍に嫁ぐ時が
近づき、かたやいずれ幕末明治の主役となる薩摩藩の胎動が聞こえてくるようで、
尚五郎(瑛太)や西郷(小澤征悦)、大久保(原田泰造)達の若き日の言動が面白い。