隠居の独り言(506)

今の高校生にチベットの位置を尋ねたら何割の生徒が正確に答えられるだろうか。
先日のコソボ独立の意味と位置だって同じで、世界の地域紛争をよそに、いかに
日本が豊かで平和で幸せな暮らしをしているのか、たまには有難味を考えてみよう。
世界の屋根とも秘境といわれているチベットでこのほど発生した大規模な騒乱で
チベット自治区としている中国が五輪を控えて慌てている様は分かるが中国は
例によって厳しく報道管制をしてチベット族に対して無慈悲な制圧をしているのは
容易に想像できる。中国は1950年に起きた朝鮮戦争で世界の注目が集まっている
最中にチベット解放という名目で侵攻しそのまま占領して自治区という名で今日に
至っている。世界中が認めない行為でチベット族は一貫してそれに抵抗してきた。
そのピークが1959年のチベット動乱で中国軍は徹底的な弾圧を加えてリーダーや
地主などを公衆の面前で銃殺や絞首刑にし、多数の僧侶たちも虐殺して鎮圧をした。
ダライ・ラマ14世を始め大勢のチベット人が難民としてヒマラヤを越えてインドや
世界各国に亡命して現在に至っている。その後もチベット人の反乱は日常茶飯だが
中国政府はそのつど厳しい弾圧の繰り返しでチベットの悲劇はとどまるを知らない。
こうして中国当局によって弾圧された犠牲の死者の数は120万人以上ともいわれ
チベット人の5分の1に達するが、これは民族浄化としかいいようがない。
中国は国連安保理一員としての資格があるのか。それに対して日本の対応はどうか。
EUは五輪開会式の不参加の検討や、選手の間でもボイコットも辞さないという。
おりしも5月中旬には胡錦濤主席の来日が予定されているが親中派福田首相
ギョウザ、ガス油田など何の決着も無いままにチベット問題に何を提起出来るのか?
出来ないようだったら日中首脳会談を延期するのが筋だろう。