隠居の独り言(517)

日本中で桜吹雪が舞っている。世間がどう変わろうとも桜は咲き吹雪が舞う。
いつも花の咲かない福田首相もたまには粋な事もするものだ。75歳からの
後期高齢者医療制度」の名称を年寄りには失礼との趣旨で、鶴の一声で
長寿医療制度」と名が改められたが福田首相の「年の功」なのだろう。
歳を重ねると日々が愛しく若い人に厄介者扱いにされるのも哀しいものだ。
舛添要一厚労相や役人の若い人達は高齢者の心の内まで察せられなかった。
それにしても中身がよく分からない。確かに高齢者になると病気の罹患率
高くなり病院では高齢者が大半を占めているが今まで、その割には患者側の
負担が少なく保険制度が破綻の危機に面している。これからは所帯主から
扶養されていて保険金を払っていなかった人にも負担を強いられるだろし、
70歳から74歳までの医療負担は1割から2割に増やされる。後期高齢者
年金から自動的に徴収される仕組みになるそうだ。年金を多く貰っている人や
高所得者には響かないだろうが国民年金や、扶養家族の人には痛いだろう。
老人所帯で年収120万円に達しない暮らしが40%もいると聞くと胸が痛むが
保険も払えない、病気になっても医者に掛かれない悲劇は他人事じゃない。
かつて東京都は美濃部知事の時に老人の医療費を無料にしたときがあった。
無料とは聞こえがいいが病院は年寄りのサロンとなり大した病気でなくても
病院は年寄りの井戸端会議の場となった。「あの人は最近来ないが病気かな」
笑えぬ笑い話が出来たが当然の事ながら東京都の大赤字はそこから始まった。
施政者の思いつきで事を為すのがいかに愚かなものか、今も後遺症が残るが
ただより高いものはない、先行きの経済を無視した政策が後の国民を苦しめる。
話しは違うが石原知事も新東京銀行を辞める絶好のチャンスを逃したと思う。
世界でも模範とされた日本の医療制度も桜吹雪のように散ってしまうのか。