隠居の独り言(519)

チベット・ラサでは強引に移民した漢民族達が流通や観光で成功しているのに
原住民はその恩恵の外だが中国の格差の構図は民族だけの問題ではなさそうだ。
都市と農村、沿海と内陸、等々の富裕層と貧困者の格差は想像を超えるそうで
共産社会主義という平等の哲学や精神には程遠い矛盾に溢れている。その中国を
平和を謳うオリンピック開催地に選んだ「IOC」の考えには疑問いっぱいだ。
矛盾の一つは聖火リレーの最大の目的は五輪ムードの盛り上げになるはずなのに
今回ほど世界から歓迎されない行事は前例が無いのではないか。中国政府による
チベット抑圧への抗議行動が聖火リレーという世界が注目している映像を標的に
された。映像を見て思うのはオリンピック憲章の「人権・友情・平和の祭典」の
文言が空しく映る。これでは何のための聖火リレーなのか、そして何のための
オリンピック大会なのか、いっそ之を機に五輪廃止論も出てくるのではないか。
チベットの土地には今やチベット族より漢民族のほうが多くなって5年10年と
経てばチベットが無くなってしまう。それはウイグルでも内モンゴルでも同様で
中国という漢民族の国家が全てを呑み込んで領土拡大路線を突き進んでいる。
しかもそのやり方は強圧的なもので少数民族にはウムを言わせず土地を取り上げ
建物を壊し抵抗する人は拘束して抹殺してしまう。共産主義犯罪は階級や人種の
敵に対する絶えざる抹殺の歴史であって、レーニンスターリン毛沢東などの
党内粛清、収容所、文化大革命などの犠牲者はソ連2000万人、中国6500万人、
カンボジア北朝鮮ベトナム各200万人で、今のチベットにおける残虐行為は
共産犯罪の延長線で主義も行動も全然変わらない。全体主義は民意の反映が無く
一党独裁の共産中国ではなるべくしてなった今回の騒動でオリンピックの意義を
問われている。初の聖火リレーは1936年のベルリン大会で当時には隆盛を誇る
ヒトラー率いるナチスプロパガンダに利用された。そして今、再び全体主義
中国の威信に世界は利用されようとしている。26日の長野ランナーに星野仙一
萩本欽一福原愛たちが選ばれたが、彼らはどの様な気持ちで走るのだろうか。