隠居の独り言(522)

このほど福田首相と韓国の李明博大統領が会談し両国間の経済や北朝鮮の問題の
話しで一致した協力体制が互いに前進した事はとても喜ばしいがトゲの刺さった
竹島の不法占拠や歴史認識の話し合いが殆ど無かったのが少し気がかりになる。
韓国の高等学校教科書によれば「古代日本文化は我々の祖先漢民族が築き上げた
もので今日の経済発展を遂げた日本文化のベースは我々の祖先により作られたが
近世に東南アジアの後進国日本はその恩を忘れ朝鮮の土地を侵略し文物や人材を
略奪した、そのため日本は近現代に大きく発展する事が出来たのだ」と、こんな
子供だましのような歴史観が戦後の韓国では国民の常識としてまかり通ってきた。
日本に対する劣等感を裏返しにした哀しいまでの民族優越主義に歴史の教科書が
彩られている。日本の教科書も韓国に気を遣ってなのか、例えば明治の始め頃の
征韓論での記述も「明治政府は早くから朝鮮国の植民地支配を対外政策の重要な
課題としたが・・」とあるが、筆者が韓国併合という結果から、日本の一貫した
侵略政策に原因を絞っているのだろうが、そんなに歴史は単純なものではない。
征韓論とは当時は清国の属国だった朝鮮に日本が韓国内の開化派に肩入れをして
自主的な完全独立を期待したが清国は朝鮮との宗属関係を強めて失敗に終わる。
清国が退廃して、日本が求めたように朝鮮が毅然とした独立国になっていれば
その後に日本が日清日露の二度の大きな戦争までもして多くの犠牲を払う必要が
無かったことは紛れもない歴史の流れだし、その辺りをきちんとした事実として
後世に伝えなければ両国にとって歪んだ歴史認識を持ち続け心から融合出来ない。
李大統領は「過去にとらわれて未来に向かう支障となってはならない」と述べて、
「強い風に揺るがない、深く根を張った木のような両国関係にする」と語ったが
歴史認識一つとっても違いは大きく、両国ともに根本的な主義主張を変えるには
簡単ではないが、それを乗り越え今度こそ本物の友人でありたい。