隠居の独り言(532)

休日は伊豆下田に遊んだが、NHKTV大河ドラマ篤姫」の「あらすじ」では
下田にはアメリカ領事のハリスが到着し将軍家定に謁見を申し入れるなどの活発な
外交交渉を開始する時期なので、あらためて開港の歴史をつぶさに触れて散策した。
ペリーの来航で長い間「鎖国政策」を取り続けていた幕府もついに折れて米国との
日米和親条約」を結び、ここ下田と北海道の函館の二港を開港場として外来船の
出入りを許したので早速翌年にはペリーは艦隊を率いて下田港に錨を下ろし、港を
詳しく調べるとともに「下田条約」で和親の細かな取り決めを日本との間に結んだ。
アメリカと下田条約を結んだその年には、ロシアも開港を迫って軍艦ディアナ号が
やってきて同じく和親条約を結んでいる。その軍艦ディアナ号が停泊していた時に
安政の大地震」が起き、下田は大津波で壊滅的な被害を受けたが、官民こぞって
復興に努力し二年後に復興を遂げたという。そして町の中心にある玉泉寺の境内に
タウンゼント・ハリスが領事館を開き、星条旗が掲揚されて本格的な活動を始めた。
でも下田の町が開港場として栄えたのは僅か3年ほどで、江戸湾に新しく横浜港が
整備をされるとそれに取って代わられ、江戸からは遠く、陸路も険しい天城の山を
ひかえて交易面で貿易港としては不便で必然的に衰えていった。アメリカの艦隊が
停泊している時に吉田松陰が密航を企てて失敗し彼の命取りの原因となった事件や、
ハリスの侍妾になった「唐人お吉」など歴史にまつわる悲話は下田を歩き感慨深い。
ドラマはとうとう迎えた婚礼の日に長々とした儀式が続く中でも家定(堺雅人)は
花嫁の篤姫宮崎あおい)に関心を持つ様子が一向に窺えないが、先だって城内で
かくれんぼをしていた家定を見て、まっとうな人間でないと感じ、迎えた結婚式も
やはりと疑問が湧くは仕方がなかったに違いない。この事は紛れもなく政略結婚で
島津斉彬高橋英樹)が篤姫に次の将軍を一橋慶喜平岳大)に政権移譲の企みを
頼んだ事も暗愚な将軍を知っての策略であったといえる。