隠居の独り言(542)

東京・秋葉原で起きた不条理な殺人事件は原因や動機の解明は勿論のこと
社会的背景が存在している、あらゆる面からの徹底分析を各界に求めたい。
亡くなった方々にはお気の毒としか言葉が無いが、瞬間の出会いの災難は
誰にも避けるのは不可能で不運の悪魔が襲ってきたとしか言いようがない。
いまさら容疑者の生い立ちや殺人の動機が分かったとて命を取り戻すのは
出来ないがこうした事件の後には模造犯が出る場合が多く、警察はもとより
私たち個人が注意して日々を過ごさなければならないのが、とても悲しい。
いつの世にも精神的欠陥を持つ人はいるが、最近の通り魔的な犯罪の特徴は
「むしゃくしゃした、誰でもよかった」とう犯人のセリフが決まっている。
この春にも茨城土浦の殺傷事件があり、若者の衝動的なキレル犯罪の風潮は
いつ頃から現れてきたのだろうか。むしゃくしゃは誰もが経験する事であり
その我慢が出来ず犯罪に走るとは常人には考えられないが、その動機といい
実行性といい、自身が破滅してしまうこれからの人生を考えられないほどに
人は刹那的になれるものだろうか。差別、格差、不平等など誰もが経験する
不安や挫折感を深く考えもしないで何故彼は自暴行為に走ってしまったのか。
新聞で彼の生い立ちを読むと勉強も出来たし人には明るい少年だったという。
両親は厳しかったらしいが、むしろ甘い親よりも教育上は良いのではないか。
その反動か、母親に対して暴力を振るったというからそれは救いようが無い。
彼はこの世に生を受けたことを錯覚している。人として誕生した事がどんなに
素晴らしいか、育まれていく意味の大きさを今までの25年間で学んだはずだ。
進学・就職、思うようにいかない世間を逆恨みするのは勝手だが、人の命を
巻き添えにするのは許せない。子供の頃から命の大切を充分に理解する教育が
欠けていたのはこの事件で今更のように学んだが、日本は長年に亘って世界に
誇れる治安の良い国であったはずだが、それがそうといっていられない事件は
なにか病巣のようなものが徐々に国を蝕んできている。やりきれない!