隠居の独り言(554)

洞爺湖サミットのニュースが報道面を賑わしているが、それに隠れて日本は
戦後初めての画期的な経済危機の状況に瀕している事を知らねばならない。
先週の東京株式市場は半世紀ぶりという奈落の連日続落があり会社の資産が
どんどんと減っていく。売る側の大半が外資というから日本の経済界も愈々
外国から見放されてきたのだろうか。世界を巡るお金は高騰を続ける原油
穀物などの商品先物相場に一斉に、なだれ込んでインフレをあおり、それが
経済の先行き不安に繋がり、株安、インフレを誘う負の連鎖になって一般の
生活に大きく響いてくる。ガソリン、食料品、諸々の値上げの原因はここに
尽きるが、世界全体の資源や資本というパイの大きさが決まっている以上は
日本も腹をくくるしかない。原油という化石燃料も100年以内に底を尽くが
中国やインドなどの発展途上国が消費を加速させれば何年保つか分からない。
世界の人口は増え続けているのに農業耕作面積がそれに伴わないのであれば
日本の食料自給率が僅か39%とは言っていられない危機がそこまで来ている。
みんなが早く気付き早く手を打たないと日本列島は飢餓列島になってしまう。
39%という数字はさまざまな原因があるにせよ最も大きな要因は農業政策だ。
政府は農家から米を国際価格の何倍かの値段で買い、ある程度の量で止めて
休耕田を作り、それに助成金を出しているが農業を過保護にする事が却って
食糧危機を作っている。公平な競争原理の観点からも農作物は完全自由化に
するべきだし、消費者の税金で保護するデメリットを考える時が来ている。
いい作物は高く売れるだろうし、そのための努力と報酬の兼ね合いは必然だ。
狭い日本の国で休耕田のため再生出来ない農地もあるという。勿体ない話で、
実績が上がれば農業に従事する若者も増えるのではないか。日本特有の個々の
狭い農地をまとめることも必要になってくるが戦後に行なわれた農地改革を
今度は違う形で実行する。政治と農業に従事する人の決断は待ったが効かない。
林業も木材の価格が現在では輸入材より国産のほうが安いと聞くし、漁業も
日本の領海を充分に活用されていないらしい。きめ細かい農水省の指導が
求められるが、これまで生産者も消費者も保護や飽食によって国家の借金が
850兆円にも達し、今までの消費のレベルが許されないところまできている。
もう、まやかしの政治はやめてもらいたい。国会議員、公務員の削減などの
政策で無駄を省き、我々も生活をワンランク下げる覚悟が必要だ。