隠居の独り言(563)

近頃、物価高が話題になっている。ガソリン、食料品、そのうえ電気ガス料金・・
先だって原油高騰のあおりで漁船が一斉に漁を止め政府に赤字補填を迫ったので
早速、自民党は近い選挙のためか補填を検討するとの事だが待ってもらいたい。
原油高の影響は漁業だけでなく全ての産業が困っているのを知っての話なのか。
解決策のひとつは流通ルートの簡素化と、それに携わる合理化が緊急の課題で、
たとえば1匹100円の魚は、漁師20円、卸が4段階各々5円で20円、最終の
スーパーや魚屋が60円のかさ上げとなっていくが卸と小売部門が儲けすぎる。
漁師20円も人件費や船の償却も入っているので実際の高騰分は5円に満たない。
実際の生産者が2割で非生産者が8割の利潤の割合は、どう考えてもおかしい。
原油高騰は流通経路で等分に分かち合うべきで、卸しの段階を減らしスーパーは
上代の5割の50円にしても採算が取れるのではないか、大型店のスーパーとは
流通面を簡素化し大量に売買して物価を下げる意味合いのものではなかったか?
苦労が多く安い労賃の漁師に原油高を押し付けてそのまま値段を上げていけば
消費者の魚離れに拍車が掛かるし、ひいては日本の食料自給率にも悪影響が出る。
報道によると外国との価格競争で漁獲高を上げるために日本の漁師は日本近海で
一網打尽に稚魚まで獲って年毎に漁獲高が減っていく悪循環を繰り返している。
ここは魚の資源のため禁漁期間を長めにして下代に当る漁師の値段を大目に見て
輸入物には関税を掛ける。中間業者には利益幅を抑えてもらう方法を水産省が
リードしていかなくてはならないと思う。物価高は漁業だけではない。ちなみに
帽子業界では職人の工賃は小売価格の十分の一で、今や老人のみで跡継ぎも無く
手作りの匠の技術が失われていくのは苦労のわりには実利が少ないからで今まで
世界に誇った「技術立国日本」が壊滅的に衰えてしまったのを国民は知るべきだ。
あらゆる業界の流通の最上流にある生産者が労働賃金の差で外国との競争に敗れ、
不況に喘いでいる現在の状況は今までの食の安全を含め質の高い生活を望むなら
日本で育んだものを国民が消費するのは祖国を愛する事と同じ意味ではないか、
額に汗して働く生産者よりも、ホリエモンのような人間が稼げる世間の仕組みは、
どこか狂っているとしか思えない。このほどの物価高は現在の贅沢や飽食を捨て
私達が原点に帰る一つのきっかけにしたいものと思う。