隠居の独り言(591)

「一葉落ちて天下の秋を知る」小さなことから物事の大勢を察知するときに
使われる中国の故事だが、日本ではこの一枚の葉を「桐の葉」に置きかえた。
存在感のある大きな桐の葉が、秋の陽射しにハラリと落ちる様は時の流れと
哀れさを感じるが、先日辞めた小泉純一郎は日本の一時代を風靡しただけに
一抹の淋しさを感じた人は多かっただろう。今更、元首相の功罪を述べても
詮方無いが、戦後の歴代首相の中でも特異な人物であったのは間違いない。
小泉純一郎がどのような首相の器であったかは後年の歴史家に任せるとして
戦後の名宰相吉田茂のDNAを受け継いだ麻生太郎は大器の資質があるのか、
危機の時代に求められるリーダーとはいかなる人物なのか、それら条件とは
危機意識を持っている、メッセージを持っている、責任感を持っている、の
三つを持っている人と考える。一つ目の危機意識とは米国発の金融の恐慌や
原油穀物高からくる不景気で景気拡大策を取れば超赤字財政に拍車を掛け
その諸刃の刃の舵の取り方は難しい。今回の金融破綻は世界的規模で資産を
失ったと同じで経済の動脈である金の流通がままならず会社経営にも大きな
支障をきたし景気の足を引っ張っている。この難題を麻生内閣はどのように
工面するのか。外交面は北朝鮮の拉致はじめ近隣諸国との資源、領土の問題、
日米同盟の絆をこれからどのように構築していくのか難問が山積している。
二つ目のメッセージの発信は、まるで無かった福田康夫と違ってこの分野は
得意だろうが分かりやすい反面に、勇み足の多い麻生発言はマスコミに足を
掬われないように気をつけてもらいたい。三つ目の責任感は人に嫌われても
いいくらいの覇気を持って自らの信念を貫き通せばおのずと道が開けてくる。
「危機こそチャンス」今の日本に当てはまる言葉だが、この時代だからこそ
麻生太郎が輩出したと長く後世に伝えられる宰相であってほしいと願う。