隠居の独り言(599)

最近のデパートやスーパーで、やたらとオレンジ色のカボチャが目に付くのは
ハロウィンという西洋の祭りのようで商魂逞しいさまざまな業者が乗っている。
映画・TV・本・玩具そして小売業界も20年ほど前から一般化されたようで、
近年ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどもクリスマス同様の騒ぎだ。
でもあれはキリスト教とは何のゆかりも無い祭りなのだそうだが、故事来歴を
調べてみるとアイルランドにあった祖霊信仰の行事の一つでこの季節になると
ご先祖のタマシイがこの世に戻ってくるという夏のお盆と同じ考えで日本では
地方によって違うが茄子や胡瓜に串を刺して動物に見立てて、ご先祖を迎える。
周知の通りだが、一神教キリスト教ではご先祖様なんて相手にしてくれない。
だからキリスト教圏でもアングロサクソン系と日本だけという異教徒扱いだが
今ではオバケに変装したりカボチャに目鼻を付けたりしてバカ騒ぎをしている。
なにがハッピー・ハロウィンか!ご先祖様もさぞビックリなさっているだろう。
日本人の宗教に対する無節操には呆れるが、それはそれで良き文化ではないか、
私たちの住んでいる日本列島にはアラーもイエスもモーゼもいらっしゃらない。
日本人の信心は日月星辰、山川草木、森羅万象なんでもOK。神社の前の狛犬も、
稲荷を守る狐二匹も、軒下に吊るされた鰯の頭も、畏敬の念で手を合わせている。
ハロウィンの次は、七五三のお宮参り、お酉様で商売繁盛、クリスマスの礼拝、
晦日は寺で鐘を突き百八つの煩悩を除去、明ければ神社で初詣、七福神巡り、
針、箸、人形の供養、地蔵、ダルマ、福助、お講、遍路、山岳信仰、キリが無い・・
ヤオヨロズの神に守られた日本は実にアバウトで有り難い国だと今更の如く思う。