隠居の独り言(606)

アメリカ大統領選挙は予想通り民主党オバマが勝った。アメリカ建国以来の
初の黒人大統領誕生は21世紀の世界史に残る大きな出来事だったといえる。
民主党共和党も、黒人もヒスパニックも白人もない、一つのアメリカだ」
この名セリフはリンカーンの「人民の人民による人民のための・」に勝るとも
劣らない素晴らしい言葉といっていい。世界史からみれば1588年にスペイン
無敵艦隊イギリス海軍に破れて以来、世界はイギリス・アングロサクソン
力によって支配され、現代でも英語が世界の共通語になるなど人種的にみても
世界を覇権しているのはアングロサクソンにほかならない。アメリカの歴史は
イギリス人の入植に始まりヨーロッパの移民を受け入れ、先住インディアンを
駆逐し、アフリカ人奴隷を使って発展を遂げたのは周知の通りだが、現代でも
世界の覇権国として君臨し、その大統領は世界のトップといって過言でない。
その二百数十年のアメリカ史を紐解いても白人のために作られたといっていい
履歴を持つ国家が底辺だった黒人を頂点に仰ぐなんて今も信じられないほどだ。
アジア・アフリカ人を含めて有色人種たちは白人に対して少なからぬ劣等感を
抱いているのは長年に亘り植民地化され、あるいは武力で制圧され、あるいは
文明・文化を先走られ、あるいは見た目の格好で圧倒され苦い思いをしてきた。
先の大戦で被植民地だったアジア・アフリカ人が白人支配から目覚めたように
オバマの勝利は、歴史という大河の中で世界の諸民族、諸国家、無数の個人の
全てが平等であると証明してくれた歴史的ドラマだろう。オバマの言うとおり
アメリカのチェンジは、すぐには無理にしても未曾有の金融危機や、外交では
多くの矛盾を抱え誰が大統領になっても世界のリーダーから落ちるのは必至だ。
日本もアングロサクソンアメリカに頼る時代が曲がり角に来ているのだろう。
我が国が、より一層しっかりしなければならない時は待ったなしだ。