隠居の独り言(607)

最近の話題を二つ、航空自衛隊のトップの幕僚長が、先の大戦について
日本だけが侵略者とする世間の見方に疑問を示す論文を公表したとして
更迭された。論文は「蒋介石により日本が日中戦争に引き込まれた」と
日本だけが一方的に悪者扱いとされている現状に一石を投じている。
私見を言えば彼の考えは間違っているとは思わない。むしろこれからの
時代を背負っていく子供達に「田母神論文」を読んでもらいたいと思う。
そもそも盧溝橋で戦争を始めた当時の中国大陸は現在のイラクと同じで
部族だか軍閥だか分らない連中が割拠している無秩序な世界で、中央を
取り仕切っている蒋介石軍に邦人保護を要請しても効果がなく、ために
日本軍が治安維持に乗り出したまでだ。盧溝橋で演習中の日本軍に最初に
発砲したのは中国側と後の調査で判明しても、戦争の敗者には全責任を
押し付けられるのは「勝てば官軍」で戦後半世紀以上が過ぎても喧しい。
今回の問題を契機に自虐的な戦後の教育を洗いなおし、公平な世界観で
戦争の20世紀はどんな時代だったかを子供たちに教えて欲しい。


かつての寵児が転落していった。作詞、作曲、歌手、楽器の殆どをこなし、
音楽プロデューサーで90年代には旋風を起こした小室哲哉は絶頂期には
資産100億円以上ともいわれ、年12億円も納税しそのマスクから女性に
モテモテの超音楽成功者が、あろうことか検察のご厄介になったのだから
世間は面白い。彼のプロデュースで渡辺美里安室奈美恵観月ありさ
活躍していた頃が頂点だが、人は思いがけぬ成功や大金を儲けたりすると
その欲望は止まるを知らない。まして若い時から天才の評判でまわりから
脚光を浴びれば有頂天になり天狗の鼻はますます高くなる。贅沢な浪費は
その癖が一度付いてしまうとなかなか直らないのも人間の弱いところだが
別の事業が多額の負債を抱えて自らが落ち目になっても止まらなかった。
「俺ほどえらいヤツはいない」と、小室はすっかり驕慢になっていたのか。
欲と色にまみれて人間としての謙虚さを失ったとき、人を騙してまでして
奈落に堕ちていった。大きな成功を収めたわりには単純な詐欺師の類とは
情けない限りだが、お金の使い道は易しいようで難しく、人を上品にもさせ
下品にもさせることをつくづくと教わった事件だった。