隠居の独り言(611)

NHK大河ドラマ篤姫」も愈々最後の山場の戊辰戦争の幕が切って落とされる。
西郷(小澤征悦)大久保(原田泰造)岩倉(片岡鶴太郎)の策謀は倒幕に向けて
執拗なほどの秘策と連携で進められていた。「錦の御旗」もその一つだが、赤色に
菊の御紋と朝廷の祖である天照皇大神の文字が刺繍された旗印で倒幕軍の先頭に
掲げて江戸へ向けて進軍する。刃向かう者は朝敵とみなすというフレーズだから
在来から尊王の哲学を持っている水戸出身の慶喜平岳大)には致命的だった。
しかも倒幕軍の総司令官は有栖川師宮とし「辞官納地」を慶喜に要求するための
官制人事も岩倉、大久保のシナリオで進められ、参事には慶喜の名は無かった。
小松帯刀瑛太)と坂本竜馬玉木宏)が考えた平和裏の大政奉還の組み立ては
意外な方向に転ぶが、脚痛の帯刀と地下の竜馬はこの事態をどんな思いで見たか。
朝敵の汚名を着せられ戦う意欲も無くし慶喜大阪城から亡命者のように逃げた。
♪宮さん宮さん お馬の前にひらひらするのは何じゃいなトコトンヤレトンヤレナ
あれは朝敵征伐せよとの錦の御旗じゃ知らないかトコトンヤレトンヤレナ・・・
鳥羽伏見の戦いで勝利した倒幕軍は「錦の御旗」を掲げて歌いながら江戸に向かう。
動乱は一般庶民にも影響し、物価高騰を招き「一揆おこらざる所なし」ともいわれ
土一揆」「うちこわし」「ええじゃないか」等の騒動で世の中は乱れに乱れていた。
慶喜江戸城に帰ると早速、義母にあたる静寛院(堀北真希)に面会を求めるが
朝敵との理由で拒絶されてしまう。だが天璋院宮崎あおい)は承諾して対面する。
対面の席で慶喜戊辰戦争の経緯と心境を述べて許しを乞い、そのうえで生き恥を
晒すくらいなら死を選ぶと言う彼に天璋院は生きるべきと説く。静寛院も天璋院
とりなしで慶喜助命の願いを書くことを決意する。驚く慶喜に徳川家はまた自分の
家族であると語る天璋院は亡くなった家定(堺雅人)、家茂(松田翔太)の分まで
生きて欲しいと慶喜に伝える・・