隠居の独り言(613)

11月22日は「いい夫婦の日」我が家の老夫婦は昭和40年(1965)に結婚して
今年で43年になる。よくぞ続いたものだと思うが43年の歳月は山河ありで、
なけなしだった結婚当初の状態から、今の平穏な日々を送る事が出来るのは
互いの協力無しではありえない。最初の縁は「お見合い」で町の世話好きの
おばさまの紹介だったが、今も昔も独身女性ご要望の三高といわれる高学歴、
高収入、高階層のいずれにも属さないばかりか最悪の三低で、丁稚小僧から
独立したばかりで将来の見通しもまるで見えなかった32歳の「馬の骨」に、
よくぞ来てくれたものだと今更ながら感謝している。挙式もカタチだけで
結納も指輪も新婚旅行などの一通りの事も叶えてやれなかったのを思えば、
今も頭の上がらない原因の一つになっている。糟糠の妻はあの頃の貧乏にも
耐えられたのは根っからの始末屋だったのだろう。縁は異なもの味なもの・・
神様は程よい細さの赤い糸で結んでくれたに違いない。苦節の部分は話せば
長いので省くが、二人の娘に恵まれ、その後それぞれに嫁ぎ、一人は近所に、
一人は会社のビルに住んで6人の孫達とともに世話で忙しくも楽しい日々を
過ごせるのも、若き日の苦労に神さまがご褒美をくださったと感謝しきりだ。
デメリットもあるが仕事を抱えての面倒は忙し過ぎる事、静かな時が無い事、
趣味に没頭出来ない事、等々、でもそれは無いものねだりの贅沢というもの、
老後にこんな巡り会わせが来るなんて思ってもみなかった爺婆の嬉しい誤算だ。
元首相吉田茂の側近・白州次郎は正子夫人との夫婦円満を記者から尋ねられて
「一緒にいないことだよ」といったが、互いに付かず離れずが長持ちの秘訣か?
「いい夫婦」とは第三者が決める事で、外見と中身では相当の違いがあるのは
我が家も同じで、可もなく不可もなく腹八分目の人生で終わればそれで満足だ。