隠居の独り言(625)

今年の暮は金融恐慌が一番の話題だが実際に商売や株をやっている人でないと
新聞TVのニュースを見聞きしなければ何も気付かない人が多いのではないか。
メディアのネガティブな情報が氾濫しているので人は不安をかきたてられるが
街はクリスマスムードで華やかだし年末の大売出しにスーパーは賑わっている。
日本一、いや世界一の会社のトヨタ自動車が連結決算で赤字に転落するという。
株価も3ヶ月前には6000円もしていたのに、あれよあれよという間に半値に
下がり、あの優良企業がここまで転落するとは信じられない思いだが、現実は
真に厳しい。企業の大部分が赤字になれば国や地方は当然に法人税が激減して
ますます国債発行が多くなり国の先行きが危ない。円高不況、派遣社員、失業、
個人の資産減少、内定取り消し、ここまでの景気の悪化はつい半年前まで誰も
予想もしなかった事で、零細企業をしている自分も他人事ではなくなっている。
季節物を扱う仕事は今までのニクソンショックバブル崩壊などの不景気には
さほど響かなかったが、今回ばかりはボクシングに例えればKOされたようで
立ち直れるまで相当の時間がかかりそうだ。受注が例年に比べて大幅に減って
季節は年の瀬なのにその気分になれない業界の一致したこぼし話になっている。
この先、経常利益があまり見込めないと今から諸々の経費の削減は避けられず、
とりわけ人件費の占める割合が多いのでそこから手を付ける以外に方法が無い。
まず自分の給与を削減もしくは無配にする。労働時間を短縮しそれに見合って
人件費を縮小する。経費の見直しをして無駄の排除に努める。あまり使わない
動産は処分する。幸いに会社は無借金なので不景気時にはそれなりに詰めれば
凌げるが、今こそ会社の大掃除の絶好のチャンスで身軽になれる時ではないか。
15歳で上京、小僧の経験が12年、回り道をしながらも独り立ちして約50年、
会社にして30年、自分の潮時を告げているようだ。