隠居の独り言(692)

大河ドラマ天地人の、ここ数回は、織田信長(吉川晃司)、明智光秀鶴見辰吾
徳川家康松方弘樹)、豊臣秀吉笹野高史)、石田三成小栗旬)と戦国後期に
主役を務めた武将の名前が続々登場するが今回は若き日の真田幸村城田優)で
歴史上の知名度では兼続(妻夫木聡)や景勝(北村一輝)どころか人気の上では
信長・秀吉・家康よりもはるかに上で智将、勇将の名をほしいままにしている。
子供の頃は真田十勇士の本や講談の猿飛佐助・霧隠才蔵三好清海入道などの
豪傑キャラクターに夢中になり、仲間のチャンバラゴッコの主役の筆頭だった。
戦国最後の一戦となった大阪夏の陣徳川家康を討ち死に寸前にまで追い込んだ
幸村の波乱万丈の人生と最期は戦いで見事に散った生き様が日本人の心を捉えた。
真田一族の苦闘の歴史は一昨年大河でも内野聖陽主演「風林火山」にも紹介され
絶えず興隆・衰退を繰り返し今回のドラマでも武田家滅亡からの苦闘が映される。
幸村の父・昌幸は武田が滅びると、すぐに信長に接近し、信長が滅びると関東の
北條に臣従し、その後に家康が優勢と判断すれば北條を見限って徳川に仕える。
次に上杉の勢力が真田に接近すると境界線の事で家康と対立したので、今度は
境界争いを演じた上杉の臣下に付くという豹変ぶりだ。戦国期では状況に応じて
主君を変えるのは珍しくないが真田家ほど短い年月で何人も替えたのは例が無い。
ドラマは春日山に真田の使者として初音(長澤まさみ)が来ることや、幸村が
真田の人質として上杉に預けられる事から始まる。泉沢(東幹久)と槍試合や
兼続と海を見て語り合う二人・・「乱世では裏切られる前に裏切ることもある」との
幸村に「裏切られても信じる生き方の方が楽しい」と説く兼続のやりとりがいい・・
後の「関が原」で、共に狡猾な家康に刃向かった両雄の若き日の姿が凛々しい。