隠居の独り言(712)

18-19世紀のイギリスは地球上で日の没するところが無い大英帝国を誇っていた。
植民地からの収益で世界中のイギリス人の家の大抵が住み込み女中がいたという。
イギリスのみならず欧州の白人国家の殆どがアジア・アフリカの土地で殖民して
現地人を搾取し或いは奴隷として酷使し彼らは甘い汁を吸っていた。少なくとも
先の大戦で日本軍が現地の白人の軍隊に勝利する姿を見て民族の自信を取り戻し
宗主国の白人からの屈辱と搾取の惨めさから立ち上がり植民地時代が終わるのは
現代史が証明する。でも本当の意味で植民地時代が終了したのだろうか。否だ!
形は違っても中国の漢民族による少数民族支配はかつての白人による殖民よりも
厳しく地続きのうえ国家という体制に組み込まれているので余計にタチが悪い。
新疆ウイグルの暴動は圧倒的な漢民族の弾圧になすすべも無く鎮圧されていくが
チベットといいモンゴルといい中国の少数民族の伝統、文化、言語などの存続は、
時間が経つほどに消滅していく気がしてならない。それら少数民族の住む土地は
油田、天然ガス、石炭、金などの天然資源が次々に発見されていくのはいいが、
古くからの先住民族は追いやられ、大半の富を得るのは中国人いわゆる漢民族
巨大な資本力と膨大な人口を誇る彼らと少数民族との経済格差が開く一方なのは
やるせなく外から見ても辛いものだ。普通に考えれば一民族一国家のはずなのに
巨大民族に併呑されていく小さな民族は弱いがゆえ人権も誇りも富も得られない。
それは中国一国だけではない。大国ロシアを始めアジア・アフリカ・中南米など
多くの国で政権維持のために自国民に鉄砲を向ける暴挙は国家経営の資格は無い。
それが国連常任理事国とは呆れる。