隠居の独り言(738)

某週刊誌に「ユニクロが栄えて日本が滅ぶ」という題名の記事が書かれてあった。
云い得て妙、日本人の得意芸のものづくりの技が惜しげも無く海外へ流れていく。
政治の世界は右系の自民から左系の民主に劇的に変貌したが、モノを作る産業は
とうの昔に左系のチャイナ職人の手に替わり世界に誇る日本の匠が失われていく。
最初の頃は安かろう、悪かろうの製品が多かったが年を経るにつけ技術と経験で
今ではMade in Japanに勝るとも劣らないものが多くなったのも悲しい現実だ。
でも近頃はチャイナ製も人件費が高くなってそれほどの利幅は取れなくなったが、
それでも実際には日本の加工賃の十分の一で運送料を掛けても採算が取れるのは
品質、デザイン、販売力等のユニクロなどの一握りの業者が美酒を飲んでいる。
繊維の一端を占める帽子業界もチャイナの波に呑まれて輝いた時代は戻らない。
大量生産の定番品は既に日本製を離れオリジナルの傾向で個々の注文が増えても
様々な仕様が処理出来ず職人も減り続け加速度的に進む高齢化は止められない。
チャイナや新興国の価格競争は経済のデフレに繋がり構造的不況の底が見えない。
売るために値下げに走れば企業の体力は落ち収益悪化で挙句の果て惨めな廃業や
倒産に追い込まれてしまう。繊維だけでなくエコポイントで売れているはずの
電器や車も利益幅が少なく赤字経営が多いと聞く。あらゆる産業の構造不況で
外国頼みの日本はどうなってしまうのだろう。消費者側にも責任が大きいと思う。
安価なものを使い捨てする今の傾向を多少高価でもモノを大切にしてほしい。
日本人は贅沢に慣れ過ぎたのか?汗を流さず楽な道を頼っているのではないか?
日本人が今の生活を数十年前ころの8割方に落とせば丸く収まるのではないか。
高い技術力とそれを支える匠の人達を粗末にしては日本の将来は無い!