隠居の独り言(742)

明日は本来なら1964年10月10日に開かれた東京オリンピックを記念して
「体育の日」だが、変更されて10月第2日曜日にセット連休になっている。
オリンピック招致に東京は破れたが要因の一つに国を挙げての盛り上がりが
他の国に負けていたという。理由は様々あっても、かつて東京五輪を記念に
体育の日を設けたのに「その日」を変更するなんて何のための記念日なのか、
これでは国民の関心も薄れるのは当たり前で、役人の無粋さに呆れ果てる。
日にちを変えては記念の意味が無くなるのは歴史の節目を変えるに等しい。
人の一生も、この世に生まれた誕生の日から、三ヵの祝儀、お七夜、宮参り、
お食い初め、初節句、等々、僅か一年間でも数々の節目は誰もが通ってきた
大切な日であるはずだ。まして国を挙げての記念日の日にちを覚えないと
意義や価値が半減してしまう。あの日、10月10日の開会式は前日までの
曇日がウソのように東京の空は雲一つ無い快晴で、天までがオリンピックを
祝福してくれたのは説明の出来ない不思議としか思えない。戦後20年近く
経って敗戦の惨めさからも立ち直り日本人が初めて国際感覚を身に付けた
キッカケだといわれている。外国から選手ばかりでなく観光客やマスコミの
関係者たちがどっと日本各地を訪れた。これほど多くの外国人が街々を歩き
接点を持ったのは初めてのことで事実上日本が開国したといって過言でない。
自分も毎日のように競技場近くを見聞に出かけたものだ。街々には飾られた
旗の数々が世界一周をした気分にさせられた。そして新幹線が走り出した。
今後のためにも、東京オリンピック=10月10日=体育の日、に戻そう。