隠居の独り言(748)

先日の産経新聞の記事欄から、前に新聞社の専務を務めた東川一郎という方が
今月6日に90年の天寿を全うされたが葬儀に1枚のDVDが披露されたという。
そのタイトルは「米寿プラス1 東川一郎 命ある限り 歌声は続く」・・・
昨年3月、新宿のライブハウスで開かれた東川氏のルサイタルを収めたもので
「オー・ソレ・ミオ」「サンタ・ルチア」を原語で、その他シャンソンの数々を
歌われたDVDだそうで、集まったのは会社のOBや歌仲間、そして東川家を
サポートしたヘルパーたち、今年2月にも卒寿のリサイタルを実現されたとか・・
3年前に他界された奥様は先年に脳出血による後遺症で車椅子生活となったが
東川氏は介護をされ、時々ボランティアの演奏家を自宅に招いて音楽会を開き
殆ど反応の無くなった奥様の口が歌にあわせ動いたという。東川氏の生き様を
新聞で知って自分の憧れの指標を見た思いだが、一凡人にはどこまで迫れるか。
残された有限の人生で健康、環境、経済、努力を保つ必要は言うまでもないが、
一番の妙薬は「生を楽しむ」ことに尽きる。脳医者・養老孟司の談話の中でも
「人は一度成功して達成感を持つと、更に努力する気持ちが起きる。その結果
更に高い結果が得られると一層積極性がわく。知能を使う人が加齢後も能力が
落ちないのは相乗効果が作用しているから・」と指摘している。つまり過去に
インプットして培った知識の引き出しを自分なりに意識しアウトプットすれば
脳は活性化し進化する。美しい、おいしい、嬉しい、悲しい、感動する、等々
感性を持ち続ける事が人生を豊かにする。歌や楽器の演奏も、文章を書くのも
自分なりに、目をつぶるまで“旬”でありたい。