隠居の独り言(764)

NHK大河ドラマ坂の上の雲」の流れは早く、第4回は「日清戦争」だが
日本に倍する兵力や装備を持つ清国の軍隊にどうして勝利する事が出来たか?
それは民衆の国家意識の差で、日本は江戸時代には領民意識しか無かったが
幕末の痛みを経て廃藩置県憲法発布など明治の国家・国民の意識が人々に
万遍なく浸透して愛国心が生まれ、国家のためには命を捨てる精神を持った
軍隊が育ったが、当時の中国人や韓国人にはまるで国家意識が無かったのが
大きな敗因といえる。中国で起きた太平天国の乱、朝鮮で起きた東学党の乱、
それぞれ自国の内乱を自ら収められず外国列強に鎮圧を頼むといった愚策は
既に国家の体を成していなかったといえる。そもそも清という国は満州族
僅か数十万の少数民族が数億人の漢民族を支配していた植民地国家のようで
国家に対する忠誠心の希薄さがヨーロッパ列強の餌食にされ、まるで禿鷹に
襲われるように容赦なく蝕まれていた。18-19世紀には日本を除くアジアの
殆どが植民地化され、搾取され人は奴隷化されていた。列強諸国から見れば
国家の体を成していない民族は魂の抜けた人間としか扱いをしなかった。
それは今にも通じる事だが国にとって人々の愛国心がいかに重要であるかが
歴史を振り返りつくづく思う。10年の後に起きた日露戦争も彼我の国力の
差を乗り越えたのも戦う軍人の忠誠心の違いが大きなウエートを占めた。
ドラマは秋山兄弟の日清戦争の従軍記を描いている。兄・好古(阿部寛)は
騎兵第一大隊長として旅順を偵察し、敵兵配置情報を司令官の大山巌に送る。
その上申書を元に大山が作戦を立て旅団長・乃木希典らは「半年はかかる」と
いわれた旅順要塞をわずか1日で陥落させた。一方弟・真之(本木雅弘)は
巡洋艦・筑紫に乗り日本艦隊は清国艦隊が立てこもる威海衛の攻略を始める。
しかし軍艦は敵の砲撃を受け、真之は部下を失い戦争の悲惨さを肌で知る。
かたや一方子規(香川照之)は従軍記者を志願し戦地に赴くが結核の病状は
悪化を辿っていく・・・裏腹に日清両国間で講和談判が始まっていた。