隠居の独り言(767)

今年の大河ドラマは「竜馬伝」だが、昨年僅か5回だけの「坂の上の雲」を
一旦閉じて、しかも時代を遡って幕末を描くという構想には少し疑問が残る。
大河というのは読んで字の如し、大きな河の流れで「坂の上」のあれだけの
スケールの大きい未曾有の大作を句切るとは放送局最大のNHKらしくない。
長編小説を途中で読むのを中止するみたいで消化不良を起こしそうな気分だ。
どうせなら「竜馬伝」が終わって来年に纏めたほうが良かったのではないか。
今年の大河に気分的に乗れないのもそのせいか?文句の一つも言いたくなる。
キャスティングも二本を通じ、阿部寛本木雅弘香川照之福山雅治等の
四十男が出る幕ではないと思う。主人公の秋山兄弟・正岡子規坂本竜馬
岩崎弥太郎らが活躍したのは20代の青年時代で姿格好や背景を演じるには
イメージが違いすぎる。まして竜馬や子規は30代前半で亡くなっている。
1968年の大河は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」で良かったイメージが残るが
竜馬を演じたのは北大路欣也で当時の彼の年齢は25歳の青年の盛りだった。
若さが爆発した日本の夜明けともいうべき幕末から明治への時代を中高年の
オジサン達が演じるのは如何なものか、有名人起用という視聴率気をしての
戦略だろうが、ここは思いきって若手の俳優を使う勇気も必要でなかったか。
大河ドラマはドラマの面白さ+歴史の勉強だから、あまり史実から離れると
興味が半減するし、長編大作らしく一年を通じ重厚な作品にしてもらいたい。
まぁ文句はこれほどにして、これから幕末最大の風雲児・坂本竜馬の生涯を
追っていくのは良い一年になりそうだ。残された竜馬の写真は両手を懐手に
遠くを眺める姿は思慮深さを思い、格好良さに彼の人柄と男の美学を感じる。
事実、誰にも愛され誰にも頼りにされ、男にも女にも好かれた竜馬の生涯を
どこまで表現され、どこまで楽しませてくれるか今年の大河の期待度は高い。