隠居の独り言(776)

日米安保条約が締結されて満50年が過ぎ、日米双方の共同声明が発表されたが、
民主党政権になって普天間基地のいざこざで同盟賛美の言葉通りに受け取れない。
そもそも日米安保とは日本がイザという時にアメリカが守ってくれる義務を負い
代わりに基地を提供し、逆にアメリカがイザという時に日本に共同防備の義務は
無いという片務条約で、アメリカがバックにいることで近隣諸国は日本に対して
戦争を仕掛ける抑止力が生まれて容易に手出し出来ないメリットは非常に大きい。
安保のお蔭で日本の軍事費も少なくすみアメリカ軍駐留と憲法上の制約もあって、
この50年間の日本の驚異的な経済発展の大きな要素になったのは論を待たない。
安保締結された1960年は米ソの冷戦時代で世界の国々は二者選択を迫られたが
日本は安保闘争などの難産もあったけれどアメリカ側に付いたのは正解だった。
たしかに政権が変わって安保の見直しも必要かもしれないが、近隣諸国の情勢は
冷戦時代よりも複雑で、中国の軍事力は日を追う毎に増大し北朝鮮の脅威は怖い。
ますます安保の重要性が増しているのに、アメリカと手を切らんばかりの態度で
沖縄の基地問題を複雑化させている意図が分からない。それなら安保を止めて
憲法を改正し自衛隊だけの軍事力で日本を防衛する覚悟あっての基地交渉なのか。
そんな度胸も無いのに米大統領に「私を信じて」と訴える首相はまるでピエロだ。
先の名護市長選で基地反対派が勝利したが民意を問えば反対するのは当たり前で
全国で基地賛成の町はあるはずがない。問題の解決は現行の日米合意でしかなく
沖縄県民をその気にさせて愚弄するのはいい加減にしないと暴動も起きかねない。
鳩山首相の迷走はますます日米間の不信の溝を深くして、それは罪一等に値する。
前に決まっていた国と国との約束事をホゴにしてまで何のメリットがあるのか?
それと自衛隊のインド洋給油活動を中止して、その見返りにアフガンに対して
民生分野を中心に5年間で総額50億ドル(約4000億円)の支援を約束したが、
インド洋給油は年間70億円の経費で、しかも自衛隊が直接行動をしているので
各国から謝意が伝えられているのに何故インド洋給油の10倍もの資金を出して
変更するメリットがあるのか分からない。これは全て我々の血税で、財政的にも
外交的にも国益を損ねていると思うが、国民の民意を問うての約束外交なのか?
その後、中国がインド洋給油に名乗りを上げて日本は世界の信頼感を損ねている。
一次イラク戦争のとき1兆円もの資金援助をしても人的なものが無かったために
評価されなかった苦い経験は既に忘れたのか?人的との世界の評価は軍隊を指す。
国の借金が10年度末に973兆円になるという。他国を援助する余裕があるのか?
鳩山由紀夫首相の唱える「友愛外交」とは何なのか?具体的な説明を国民に示し
国会を解散して国民投票をするといい。