隠居の独り言(791)

大河ドラマ「竜馬伝」で竜馬役にミュージシャンのイケメン・福山雅治が選ばれた
最大の要素は竜馬の人間像が美丈夫で格好良く多くの女性にもてたのがあげられる。
竜馬の身長は172センチ、体重は80キロ、体つきは筋肉質で逞しかったという。
当時の日本人は現代より、はるか貧弱な体つきと想像されるからかなりの大柄だ。
しかも実家の坂本家は商家から分家の、かなりの資産家で、着る物も袴は仙台袴、
羽織は絹を着てお洒落だったらしい。幕末の志士達のイメージはボロボロの着物で
髪はボサボサの汚い格好だが、竜馬は違っていた。性格も古い枠に縛られず柔軟で
独創的な考えの持ち主だったのは、生まれた環境が多分に影響していると思われる。
竜馬は明るさと包容力があり、小さな子供にも好かれて傍をまとわれたというから
女に好かれる男の要素を全て備えている。そんな竜馬は情がありすぎて女性に対し
その優柔不断さで愛情を断りきれず多くの女性に生涯に亘り流転の道に歩ませる。
竜馬は女性が好きだったし、女性たちも竜馬に惚れたのは彼の心の温かさだろう。
判明しているだけでも三人の女性、最初は初恋ともいうべき加尾(広末涼子)で、
彼女は土佐郷士平井収二郎の妹で和歌をたしなみ文筆に長じた才媛の美女だが、
藩の事情で京都への旅立ち、収二郎の失脚などの事情で仲が引き裂かれてしまう。
次に留学先の千葉道場の佐那(貫地谷しほり)、剣術修行の頃から惹かれていたが、
相思相愛になったのは脱藩してからで婚約までしたのに、竜馬が京都に移り住み
それから疎遠になってしまう。しかし佐那は生涯独身を貫き、今も彼女の墓には
坂本竜馬室」と書かれてあるという。竜馬が京都に住んでから知り合ったのは
お龍(真木よう子)で、出会いは不明だが、様々な出来事はドラマで見るとして
妻として人々に紹介したのは彼女だけで、西郷隆盛の世話で鹿児島に新婚旅行を
楽しんだという。竜馬32歳、お龍26歳、竜馬の生涯で最も幸せな日々といえる。
艶福家の竜馬も次の年に横死するが、お龍はその後、落ちぶれて神奈川宿の再婚は
テキヤの商人で、横須賀の地で果てる。話がそれるが昨年、横須賀に住んだ叔父の
葬儀が「お龍会館」で執り行われたが、会館とお龍との関りの真偽は分からない。
ドラマの中で開国派の土佐藩参政・吉田東洋後藤象二郎青木崇高)に命じて
弥太郎(香川照之)を牢から出して長崎に派遣するが、これが攘夷派の反感を買い
東洋が暗殺される遠因になっていく。