隠居の独り言(792)

震災祈念堂通りの向かい側に老舗の鯛焼き屋があっていつもよく売れている。
暖簾は元祖と書いてあるがこの演目は方々にあるので素直に信用出来ないが
皮がほどよくパリっと焼けてアンコの甘味もちょうど良く、とても美味しい。
小豆味の好きな甘党には上品な和菓子より焼きたてをガブリと食う鯛焼き
感触がたまらない。生まれた関西には亀焼きというのがあって子供のころは
これが大好きだった。鯛も亀も大きさと形が違うだけで皮も中身も同じだが
亀のほうが小さくて丸いのでアンコが均等に入って美味しかった記憶がある。
世界のスイートは知らないが小豆味の甘い菓子は日本独特のものではないか?
鯛焼き、ドラ焼き、今川焼き、人形焼、最中、キンツバ、マンジュウ、おはぎ、
大福、鹿の子、きりがない・・自他とも許す甘党で、どこかの評判の美味しい
情報があると、すぐ飛んでいくことにしている。食べるのも三時のおやつより
食後のデザートに食べるのが自分流で、その後に甘味の残る口さましに渋めの
お茶を頂くのは至福そのもの・・今のスイート、つまり洋菓子系は種類が多く
覚えきれないほどある。一昔の野球場や映画館ではオセンにキャラメルだけで
子供たちは近所の駄菓子屋の色のついた、わけの分からない菓子を食べていた。
衛生面では今では想像外で何処の駄菓子屋、魚屋、八百屋等々はハエ取り紙が
ぶら下がって真っ黒になるほどハエが付いている。包装も古新聞が殆どだったし
ハエ取り紙は家の必需品でその中で食事しても何とも感じなかった生活だった。
TVで発展途上国のハエが飛ぶ不衛生な映像を見るがかつて日本もそうだった。
でも害虫ばかりではない!ホタル、トンボ、カブトムシは子供達と仲良しだった。
あの頃の日本中が昆虫の天国で何処もかしこも生命に溢れて自然は輝いていた。
今はたしかに衛生的になったが、それは多くの生き物の犠牲の結果ではないか。
鯛焼きの話から虫の話まで、今回は随分と脱線した。