隠居の独り言(804)

そもそも幕末の志士たちの合言葉「攘夷」とはなんだろう?日本に侵入する
夷狄(いてき)を討つ、つまり外人を神国日本には入れないという思想だが
幕末の志士たちは具体的にどうすればいいのか、その答えも出せないままに
燃えたぎる闘争心だけで叫んでいた。日本にやってきた異人種を見て容貌は
恐ろしいが、それでも上陸すれば内陸戦で撃退が出来るとでも思ったのか?
鎌倉時代博多湾に攻めてきた元の大軍、いわゆる元寇では上陸を許したが
武士達が果敢に戦い日本から駆逐した。でも当時の元軍の戦力は帆船艦隊で
何百隻やってきても兵隊は航海で疲れているし折からの台風で船は沈んだ。
敵軍が島国の日本にやってきても帆船の類いなら何とか撃退できるだろう・・
志士は長い鎖国で関が原合戦当時の武器で外国に対抗できると思っていた。
知らぬとは恐ろしい!志士達は今に思えば滑稽でも真剣であったに違いない。
黒船を目の辺りに見て、恐るべき軍事力の脅威を肌で感じた幕府の高官達と
怖さを知らない志士達の意識に相当の違いがあったのは情報不足で仕方ない。
後に長州が馬関戦争で、薩摩が薩英戦争で、外国船の砲撃を受け物心ともに
壊滅的な被害を被って初めて攘夷思想の空しさに気付く。余談だが日本人の
多くが今も外国人への拒否反応を持っているには当時の攘夷のDNAなのか?
竹槍持って鬼畜米英と叫んだ攘夷の小学生が懐かしい。ドラマ「竜馬伝」は
土佐を脱藩した竜馬(福山雅治)は京を後に、江戸にくだり千葉道場に現れ
竜馬を一途に待ち受けていた、道場の佐那(貫地谷しほり)と再会を果たす。
竜馬は佐那の兄・重太郎の取り計らいで幕府・政事総裁の松平春獄と面会し
軍艦奉行職・勝燐太郎(武田鉄矢)に会う紹介状を貰う。二人は当代隋一の
開明的な人物だが彼らの行為は初対面のしかも脱藩浪士だった一介の若者に
格別の配慮をしたのは竜馬を、よほど見込んでのことだったに違いない!