隠居の独り言(807)

「私こと来年三月年季があけ候えば、あなたさまと夫婦になること実正なり」
遊女からこんな起請文をもらって舞い上がった男だが、友人の二人もまったく
同じ起請文を持っていた。「けしからん」と三人で遊女のもとへ押しかけたが・・
おなじみ「三枚起請」という落語で、結局は女が一枚上、だまされる男どもが
阿呆ということになる。今に譬えば三人の男はアメリカ、沖縄、そして国民で
遊女役の鳩山首相の巧言令色の言葉の連発は日本の総理として実に恥ずかしい。
「三月までに決着する」「べつに法律にあるわけでない」「五月末までに決まる」
普天間問題で「決着」を度々変える首相の姿勢は日米安保の重要性、とりわけ
東アジアの安全保障の基軸、平和と安定に不可欠な日米条約だと公言しながら
前政権で日米と沖縄の合意が済んだはずの普天間移設計画を弄び核の抑止力が
必須は世界の常識を知ってのことか?アメリカはシュワブ沿岸案を最善とする
立場を変えていないが、首相に聞きたいのは、なぜ日米合意案がいけないのか?
この合意案に沖縄県民も納得したはずなのに今更蒸し返して混乱させる意図を、
きちんと説明して欲しい。国民に何の説明も無いまま、県外だ、海外だ、等々
社民党などの意見に振り回されてオロオロしている鳩山首相は何とも情けない。
外交交渉の結果は国家間の約束事で、たとえ政権が変わろうと根幹を変えるのは
相手国のみならず世界から信頼を失う。現に先だっての核に関する国際会議でも
オバマ大統領と僅か10分間の面談だけで蚊帳の外に置かれたのを象徴している。
そもそも日米安保は50年前に当時の米ソ冷戦下で日本は自由主義陣営の一員で
アメリカに日本の安全保障を核抑止力とともに委ねる軍事条約を指すが、一時は
ソ連の崩壊で開放感も持てたが今ではソ連の脅威を遥かに超す緊張に満ちている。
中国のチベットウイグルを力ずくで征服し人権抑圧は日常茶飯事的に行なわれ
言論統制はグーグルを撤退させるほどの専制政治の抑圧と、軍事力の果てしない
増強と近代化に突き進み、日本にミサイルの標準を定めている脅威を直視すれば、
安保による核抑止力が以前にも増して重要なのに、中国に擦り寄って日米同盟を
ないがしろにする鳩山政権の左寄りの危うさは滅び行く日本の前触れなのか?
日本を繁栄させた先人の苦労を勉強してほしい。