隠居の独り言(827)

幕末から維新にかけて主役となったのは薩摩と長州の二藩で、その背景には
それぞれ産業を興し富国強兵に勤めた結果で、薩摩は表高77万石だが実質は
発電、製鉄、紡績、造船・等々100万石以上の実力で、密貿易もやっていた。
長州は表高37万石でも瀬戸内海に干拓を進め、米穀収入も100万石以上あり
殖産興業も盛んで、紙、塩など生産されていた。両藩とも既にヨーロッパの
小さな国あたりと経済力もさほど変わらない。当時のGNPの換算からいけば
オランダやポルトガルあたりの国と対等に戦える実力を持っていた。反面に
幕府は殖産興業にも遅れ産業は農業を主としたが旗本八万騎も腑抜け同様で
勝の政敵・小栗上野介はフランスに支援金と兵器を頼むような脆弱さだった。
竜馬(福山雅治)が薩摩藩邸で西郷に説いたのは「幕府は朝廷の反対を無視し
諸外国と通商条約を結び、港を次々と開港している。しかも諸藩に対しては
従来の鎖国令で貿易をさせない。されば幕府のみ金が入りフランスに軍制の
改革を頼めば天下の志士どころか薩長といえども粉砕されてしまう。その後
フランスは北海道・対馬を担保に要求するだろう」聞いて西郷は青くなった!
早く倒幕しないと今までの苦労が水の泡となる。来るべき薩長連合の原点は
竜馬の言葉にあったのではないか?竜馬の一ファンとしてこう思いたくなる。
ドラマはこの時期に弥太郎(香川照之)からの手紙で土佐に戻る筋書きだが
フィクションか事実か定かでない。突然の帰国に喜ぶ姉(寺島しのぶ)だが
竜馬は兄の権平(杉本哲太)に坂本家から自分を絶縁して欲しいと頼み込む。
長い投獄生活の半平太(大森南萌)や厳しい拷問に耐える以蔵(佐藤健)は
どこまで命を保てられるのか。竜馬は弥太郎の協力で東洋殺しの情報を集め
取り調べている後藤象二郎青木崇高)に犯人は自分だと嘘をつく・・