隠居の独り言(829)

8億9100万円!日産自動車社長のカルロス・ゴーンの一年間の報酬を知って
驚きとともに溜め息が出た。先月に開かれた株主総会で報酬に対して会場は
異様な緊張感に包まれたという。「グローバル企業というがトヨタやホンダと
どこが違うのか」「社長の報酬を下げれば非正規従業員を何百人も雇用できる」
「業績も配当も良くないのに信じられない」「日本のモノづくりの強みである
経営陣と従業員の一体感を失わせてしまう」私も株主の一人だが多数の意見は
あまりの報酬に怒りさえ覚える。確かに今までゴーン社長の実績は申し分ない。
12年前に経営不振に陥った日産自動車資本提携したフランス・ルノーから
派遣されて日産の社長に就任、工場閉鎖、2万人のリストラ、下請け会社との
取引見直しなど大鉈を振るい「コストカッター」の異名で会社を復活させた。
でもトヨタやホンダのハイブリッドカーで遅れを取り会社の業績もイマイチで
あの神通力の衰えや長期政権の弊害も噂される中でのこの報酬は妥当なのか?
私は株主でもあるニッサンをこよなく愛している。以前から車を乗り継いだし
甥は横浜で、従兄弟は九州の工場で働いている。でもゴーン社長に物申したい!
あなたは世界的な会社の報酬体系では、これくらいの給料は当然だというが
会社とは大勢の人で成り立っているもので、株主、経営陣、従業員、取引先、
そして支えている客の数は計り知れない。言うまでもなく社長は社員の一員で
スポーツ選手のように技を生かした個人プレーではない。社長が何と言おうと
日産自動車は日本の会社だ。長年に培われた会社の土壌は経営陣と従業員での
互助感と信頼感で、それを無視したような社長の高額報酬の勝手は許されない!
かつてゴーン社長が就任した時にコストカッターされた人の苦しみや悲しみを
少しは思われた事があるだろうか?ソニーのH・ストリンガー社長もまた然り!
最近の「ウォールストリート・ジャーナル」に興味ある記事が書かれてあった。
リーマンショック後の上場企業のトップの平均収入が一般労働者の約360倍に
下がってよかったというが、それまでは500倍を超えるのが普通だったらしい。
単純に計算して一般労働者の年収が400万とすると360倍でも14億4000万!
最近の「格差問題」の著しい日本に比べても、その「格差」に唖然とする!