隠居の独り言(855)

NHK大河ドラマ「竜馬伝」は愈々第二次長州征伐で数万といわれる幕府軍
迎える側の長州軍は僅か1000人少々で人数的には圧倒的に敵わないが鎧兜に
身を固め重装備で弓矢、火縄銃を揃えた幕府軍と、高杉晋作伊勢谷友介)が
率いる奇兵隊のズボン姿の軽装の洋式銃を持った長州軍では、軍隊の人数より
装備、指揮系統、士気がまるで違っていた。長州軍の手にする銃は亀山社中
薩摩名義でグラバーから大量に仕入れた世界の最新のミニエー・ゲバール銃で
つい半年前の竜馬(福山雅治)の仕組んだ薩長同盟がこんなところでも生きた。
長州軍の作戦と部署が決まった。長州には四隻の軍艦があるが、これを二つに
分け第一艦隊を高杉が、第二艦隊を竜馬が担当し幕府の主力艦隊を奇襲攻撃や
優れた戦術で圧倒した。高杉が乗った旗艦の丙寅丸も、竜馬が乗った乙丑丸も
グラバーから買った船で、西欧列強の進んだ文明の象徴でもある武器の凄さを
まざまざと知り、長州征伐は今までの攘夷的な思想の空しさを日本人の殆どが
事実をもって学んだに違いない。竜馬は船上から関門の戦争を体験して叫んだ。
「高杉さんの奇兵隊はマッコトスゴイのう。こんな沖からも兵隊や銃の活躍が
手に取るように見える。社中の者は海戦がいかに重要か、わかったじゃろう。
薩英戦争でも下関戦争でも西欧列強軍の艦砲射撃で薩長は滅多打ちにされた。
だから島国の日本には海軍が絶対必要なんじゃ」今回の長州征伐には薩摩藩
参加しなかったが、長州だけで幕府軍を退却させた事実は今までの幕藩体制
大きくひびが入り、やがて幕府が崩壊していく前兆の地響きが聞こえ始めた。
いっぽう土佐から長崎にやってきた岩崎弥太郎香川照之)は土佐商会を開き
溝渕(ピエール瀧)を呼んで万次郎(トータス松本)を通訳にしてグラバーに
樟脳を輸出しようとするが土佐なら竜馬を通じるように言われて激怒する。