隠居の独り言(887)

最近の事件簿には考えさせられる事柄が多すぎる。茨城県常磐線取手駅前で、
男がバスの中で包丁を振り回し13人が負傷した事件で現行犯逮捕された犯人は
「自分の人生を終わりにしたかった」と供述したというが終わりにしたかったら
なぜ自分一人で処置出来ないのか?甘ったれるんじゃない!親に育てられ社会の
人々に世話になりながら成長できたのに身勝手過ぎる精神はどこで間違えたのか?
命の大切さを知るのは生まれた時からの人間の脳幹に宿した本能ではなかったか?
犯人は対人関係がうまく作れず孤独に引き籠ったらしいが、現代はネット社会で
見知らぬ誰かと会話してネットの世界が唯一の居場所になり自分の発言に対して
批判や中傷があれば疎外感を強め自暴自棄になって反社会的な行動に走ったのか?
そうとすればネット世界に依存し過ぎた人格形成のゆがみとしか言いようがない。
先日は生後半月の赤子を殴って重傷を負わせた父親がいたが最近では児童虐待
常套化しているのに暗澹な気持ちにさせられる。共通点は命の喪失ということ!
幕末期に来日した西欧人は一様に日本人が子供に体罰を与えようとしないことに
驚いたと記されている。当時の西欧人は子供に躾のため鞭で打つのは当然とされ
むしろ日本人は子供に躾や教育ができないとも映ったらしいが、そんな子供達に
優しい昔の日本人の話を聞くにつけて昨今の児童虐待で子供をさいなむ親が躾を
口実にしているのが何ともやりきれない。子供には親を選べないし、我々だって
生まれた家庭や国家を選べない。ただ一度だけの人生をどうして粗末にするのか?
君たちは生きる執着に見放されて散っていった作家や芸術家の手記を読むといい。
正岡子規中江兆民尾崎紅葉石川啄木滝廉太郎樋口一葉金子みすず・・
夭折の悔しさはきりがない。そして悲しいかな、今年も自殺者が三万人を超えた。
辛さは分かるが生きたくても生きられない悲しみを背負った人達を思ってほしい。
人生はこんなに素晴らしいのに・・命を粗末にするとは愚か者以外の何ものもない。