隠居の独り言(893)

新しい年を迎える度に一つ毎に年齢が重なる重みを若い時は考えなかったが
人生の一里塚をしみじみ感じる昨今は残り少ない時間の配分を考えさせられる。
今は身体が丈夫で生活に支障は無いが老後の先行きに常々不安は付きまとう。
遅かれ早かれ、人の支えがないと生活出来ない時の来るのは人生の定めだが
たとえ子供や孫たちと密着の生活をしていてもイザの時には、あまり世話を
掛けたくないのが本心で、終の棲家は本来なら自宅が理想と思ってはみても
自らの尊厳を思うと、むしろホームや病院の方が身支度にいいものと考える。
データからいえば現在の日本人の平均寿命は男性が79歳、女性は84歳だが、
健康で自立した生活が出来る所謂、健康平均寿命は男性73歳、女性78歳で
介護や誰かの手助けが必要となる非健康期間の約7年を経て生涯を閉じる。
昔の姥捨て山の習慣は失われても、その正否の答えは考えても分からない。
もちろん最後まで介護を必要としない人もいるが、それには相応の生き方と
人の運にも恵まれたい。大抵の人が罹る介護7年を出来るだけ短くするには
食事、運動、生活習慣を正すのは論を待たないが、まず食事に関して言えば
実験で摂取カロリーを制限したサルは自由食のサルより寿命が長い結果があり
「腹八分目」は老化の制御に有効な手段の一つといえる。また適度な運動は
血中濃度を上げ様々な疾患や障害を引き起こすことを救い、ストレス解消や
スタミナ向上にも良いという。老後設計は自己責任であり元気な今のうちに
5年先、10年先、そして死後の始末も自ら付けるのが人生の美学と思う。