隠居の独り言(894)

弱肉強食、権謀術数、戦国時代には正にこれに打ち勝たねば生きる道が無かった。
江(上野樹里)の父、浅井長政(時任三郎)は何故、義兄に当たる織田信長を裏切って
朝倉氏と手を結んだのか?例え朝倉氏との古くからの義理や足利将軍が朝倉氏に
身を寄せている理由があっても自滅行為でしかないし当世最も勢いのある信長と
兄弟の縁が出来た絶好の幸運を自ら潰してしまう愚かな武将といって過言でない。
歴史にイフは無いが長政がこのまま信長に従っていれば信長を支えて全国統一の
偉業を成し遂げられたはずで豊臣秀吉徳川家康も普通の大名でしかなく日本の
歴史も大きな変貌を遂げていたに違いない。まして信長はキリスト教にも寛容で
世界観が大きく日本統一後には七つの海に日本人が進出して今ごろは世界地図も
変わっていただろう。残念ながら日本史は徳川の政権になって井の中の蛙になり
ガラパゴス化して今でも後遺症が残る。下剋上の自分勝手な背信行為が横行した
戦国時代にあっても義侠心を重んじた浅井長政は心優しい武将かも知れないが
歴史は一人の人物の心の動揺で大きく様変わりするのは枚挙にいとまがない。
日本人気質の義理という心の縛りが良きも悪しきも史実となって現代に至るが
偶然と出会いが絡み合い複雑に紡いだものが歴史なら日本史は何と哀れなのか。
ドラマは、市(鈴木保奈美)と三姉妹は浅井氏滅亡の後に北近江を離れて織田信包
(小林隆)の居城の伊勢上野城で平穏に暮らしていた。ある日、信長(豊川悦司)より
安土城への招待状が届く。江(上野樹里)は、伯父にあたる信長と初対面を果たし
その魅力に圧倒されるが、父の命を奪い母や茶々(宮沢りえ)、初(水川あさみ)を
悲しませた人物だと知った江は信長に対する憎悪の反面に、その強烈な人間性
畏敬と尊敬の念を抱いていく。