隠居の独り言(896)

NHK大河ドラマ「江」の3回目は「信長の秘密」だが、織田信長を演じる
豊川悦司は自分に目では信長のイメージに適っている気がして好感が持てる。
大名の殆どが召し抱えていた謀臣を持たなかったのも強い自信の表れであり
自己しか信じなかった原理原則を通した。信長から見れば人は全て自分より
阿呆の道具に過ぎなかったが、中でも多少は自己の才気に近い家来がいれば
優遇して酷使した。羽柴秀吉(岸谷五郎)や明智光秀市村正親)などだが
彼らは気の毒なほど忙しくこき使われた。他面に異常なほどの執拗な性格は
人に対する恨みの根も並はずれて深く、小谷の陥落では市(鈴木保奈美)の
長男の万福丸を串刺しの刑をして報い、比叡山焼き討ちでは裏切りの憎悪で
女子供まで全てが虐殺された。信長は自己絶対な戦略の観念を持った人間で
その凄まじい所業も、彼なりの世間への見せしめという説明をしたのだろう。
信長への評価は後世の人の意見が分かれるところだが戦国期を纏めた実績は
紛れもなく日本史筆頭の英雄といっていい。戦略家として信長の偉い部分は
例えば、桶狭間の奇襲で今川に勝った戦い以降はバクチのような戦術は避け
敵の数倍にあたる戦力を用意して絶対有利の勝ち戦で臨んだ戦略家であった。
明治の日本が奇跡的に勝利した日露戦争を信長的な反省と戦略があったなら
昭和の悲劇は無かったはずで歴史を学ばなかった軍部の驕りとしか言えない!
ドラマは、江(上野樹里)が信長の命により家康が妻と嫡男を殺めた事を知る。
信じ難い非道な命令を下した信長の真意を知るために、江は安土へと向かう。
信長と再会し千宗易(石坂浩二)や秀吉の妻・おね(大竹しのぶ)とも出会ったが
若い江には信長の本心はなかなか解けそうもない。