隠居の独り言(898)

NHK大河ドラマの「江」は現代風に脚色されているが少し違和感を覚える。
江(上野樹里)が信長(豊川悦司)と安土城で直接に対話する場面があるが
時代考証からして、ありえない状況と姿をもっと上手く表現してもらいたい。
それにしても信長の行動の功罪は死後400年以上経っても大きく分かれるが
功の部分は、彼がいなければ戦国時代はもっと長く続き、多くの人が傷つき
或いは殺され暗黒時代の終わりは見えなかった。彼の残虐性を差し引いても
戦国時代を終結に向けた大きな戦略は長い日本史でも特筆されるものだろう。
信長の飛躍の秘訣は戦国大名には無かった情報管理集中方式だったといえる。
罪の部分は、信長のコントロール方式で部下はロボットであることを強要し
信長の司令のボタン一つで端末ロボットは殺人ビジネスを忠実に行っていた。
庶民といえども一向一揆比叡山の大虐殺は容赦のない事務処理的であった。
ボタンの指示に対して有効に機能しないロボットは重臣といえども追放され
或いは粛清された。この時期の信長は戦争ゲームに夢中になっているように
部下への人間的な側面や心理的な起伏も認めようとせず自らの押したキーに
完全に機能していれば気に入らなくても使用したが間違いは許されなかった。
でも狂気に満ち殺戮に明け暮れた生涯も部下の反乱の憤死は神の配剤だろう。
ドラマは天正9年春(本能寺の一年前)江たちは信長が京都で開く馬揃えに
招待されたが訪れた先で明智光秀(市村正親)や娘の、たま(ミムラ)と出会う。
やがて信長率いる織田軍は毛利、武田等を討伐し天下統一への最終局面だが
光秀は信長に対し、ひとり焦慮を募らせていた。