隠居の独り言(918)

今年の3月も明日で終わる。何故こういう書き出しかいうと、4月に歳を一つ重ね
最近は二度と帰らない年月への郷愁と、少ない命の残量の寂寥感がとみに漂う。
戸籍上も年寄りだが誰が付けたか65歳から前期高齢者、75歳から後期高齢者
85歳から終期高齢者、95歳から末期高齢者というらしい。進む少子高齢化
日本では老人が人口の四分の一もいるというが大体人間は文明の発達によって
自然の法則から大きく外れ長生きし過ぎている。原始時代の文明以前の人間は
30歳代が平均的な寿命で野生動物同様、生殖期が終わると急速に老いて死んだ。
わらべ歌「赤とんぼ」に「姐やは十五で嫁にいき」の歌詞があるが三木露風
作詞したのは大正時代で、僅か一世紀前までは人間も生殖期になれば結婚して
子供を儲け心身ともに大人になった。今の婚姻法では女性が16歳以上なので
姐やの未成年結婚は許されない。最近の女性は30歳前後で結婚する人が多いが
思えば原始時代の寿命が尽きる頃から生殖年代に入るのは人間の進化論なのか?
なかには50代で子供を産むのも珍しくなくなった。それはそれで結構な話だが
急速な年齢構成の変化に人は肉体的完成度と人間的完成度のズレが大き過ぎて
事件に発展する例も多い。若い20代による母親の幼児虐待事件簿も今の女性の
遊び盛りの最中の出来ちゃった婚の結末であり子を産み育てる資質が疑われる。
かたや老人も昔は長く生きた経験と薀蓄を語り若い人から尊敬の念を持たれたが
今では老人の人口が多くなり急速な社会の変化には付いていけず口だけは達者で
年金だけは黙って頂いてヒマツブシに日々を過ごせば軽蔑されるのも仕方ない。
さて自分はどうなのか?お迎えは明日かも知れないし四半世紀後かも知れない。
それまではあまり皆に厄介を掛けずそっと消えるように娑婆を離れたいと願う。