隠居の独り言(994)

政府は消費税を2010年半ば頃までに10%まで引き上げるという。その理由は
社会保障に関する財源が10兆円余り不足するからという。しかし考えてみよう。
財源不足は何も社会保障ばかりじゃない。震災復興費はじめ殆ど全ての財政が
不足している。お金に色が無いので社会保障だけを口にするのは国民に対して
文句を言わせない小細工に過ぎない。財政不足は国民にも分っているのだから
その前に自らを律して議員年金撤廃、公務員給与のカットを何故できないのか?
無論これに手を付けても10兆円には遥か及ばないが話の順序を間違えては困る。
消費税を5%上げれば10兆円の税収増になるのは算術的には正しいが消費税を
いま上げられないのは人々の購買意欲が減退し日本経済をどん底に沈んでしまう。
日本はデフレ不況が10数年続いているが発端は1997年に自民党の橋本政権が
消費税を3%から5%に増やして計算通りに4兆円増えたが経済は不景気になり
法人・所得税収が7兆円も減ったのが原因と云われている。要するに不況を招く
消費税増税の物の怪に憑りつかれてはならない。そこで隠居は政府に提案したい。
約1000兆円と目されている個人の金融資産の持ち主の大半は65歳以上の老人で
やがて亡くなった時点で平均して2000万円のお金を使わずにこの世に残していく。
昨年の老人死亡者は約120万人で2000万×120万=24兆円、これだけの大金が
毎年、子や孫たちに相続されるわけだが、そこで相続税率を出来るだけ高くする。
あの世にはお金を持っていけない。相続税を払うのが嫌なら生きているうちに
自分や子や孫のために金を使えばいいのであって消費が増えて景気が良くなるし
景気が上がれば法人税所得税も増えるはずだ。ギリシャに始まった世界各地の
格差問題も相続税率をUPすれば少なからずの効果と景気浮揚の切り札になるし
長い目で見ればプライマリーバランスが黒字になり過去の国債返済の充当になる。
野田総理殿、消費税にまつわる歴史を学んでほしい。円高・デフレ不況の最中に
景気の足を引っ張る消費税とはあまりにも単純な発想に国民は納得するだろうか?